いちじくは世界中にあり、美味しく食べられるおやつとしても、子供たちに人気のある果実です。しかし、いちじくは単に美味しく食べられるだけでなく、意外な効能や働きがある事にも注目してみましょう。
いちじくの歴史
いちじくは漢字では「無花果」と書き、花を持たない果実として知られますが、外見では見えない実の中で花を咲かせるので、こうした名前が付けられたのでしょう。原産地はアラビア半島から地中海にかけてで、原産地周辺のメソポタミアでは約6千年も前から栽培されていたとの記録も残されています。また古代ローマ帝国においても、非常にポピュラーな果実のひとつで、その優れた味からも貴重な食料のひとつでした。また、古代エジプトの遺跡にある壁画にもぶどうと供に描かれており、旧約聖書に出て来るアダムとイブが、男女の部分を隠しているのも、このいちじくの葉っぱなのです。日本にもシルクロードを渡って伝わっており、その時代は江戸時代に伝わったものとされていますが、当初は薬用として紹介されていました。しかし、実際食べるとわかるように、いちじくの甘みは現代でも非常に好まれる程の甘みを持ち、当時では大変貴重な甘みとして注目されたことは、明らかだったのでしょう。この美味しさに注目し、国内でも急速に広まったことは言うまでもありません。
いちじくの凄い効能
日本に入ってきた際に、薬として紹介されて来たほど、いちじくには優れた効能やその働きがあります。特に多くのカリウムを含んでいる為に、血液を下げる効能があるので、高血圧や動脈硬化はじめとする、疾病の予防に役立つとして重宝されてきました。薄皮のすぐ下の白い部分には、多くのペクチンが含まれているために、コレステロール値を下げる効果があります。ペクチンはジャム作りに欠かせない成分に一つで、食物繊維としての機能も持っており、血糖値の上昇を抑える効果があるほか、便秘や下痢を解消したり疲労回復効果にも役立つ成分と言えるでしょう。また、フィシンというタンパク質分解酵素が含まれている為に、消化を助けてくれる食後のデザートには、非常に最適な食べ物と言えます。漢方でも同様の名称で乾燥したものが用いられており、緩下剤として持ちいられていました。また、果実や葉から白い粘りのある液体が取れますが、いぼ取りとして使われたり、痔の治療薬や虫下しとして、昔から民間治療として行われてきました。いちじくの樹液には、フィシンという酵素が含まれており、食品添加物としての利用が行われています。
いちじくと健康法
いちじくには多くの糖質を始め、クエン酸などが含まれており、ビタミンEやカルシウムにカリウムなどのミネラル類も含まれており、かなりの栄養価が高い食品と言えるでしょう。幅広い栄養素が含まれてるために、優れた効能や働きが期待できますので、積極的に取り入れる事が日頃の健康づくりには、大事な事と言えるでしょう。古代より、健胃や整腸効果の効能の働きがある事が知られていますが、緩下作用もある為に大量に食べることは避けておいた方がいいでしょう。血糖値を下げる役割がありますが、ご存知の通り熟したいちじくは非常に甘みが強く、果糖が多く含まれていますので、糖尿病などの方は医師との相談の上、食用されると良いでしょう。乾燥イチジクもありますので、一年中楽しむ事ができますが、エキスだけを抽出して頂くという方法もあります。それは、いちじくの果実酒ですが、甘みを気になさる方は氷砂糖の量を控えられると良いでしょう。果実酒にする場合には、裂けていないものを選びます。一旦熱湯にくぐらせて殺菌したら、氷砂糖と共にホワイトリカーを注ぎ保存しましょう。
美味しいいちじくたち
国内で生産されているいちじくは、その2割ほどが愛知県で生産されており、国内では1番の生産量を誇っています。2番目は和歌山県ですが、このいちじくを含んだ「わかやまサイダー」が人気の商品なのだそうです。国内のイチジクの品種では「桝井ドーフィン」という品種が一番多く、国内のシェアの8割ほどをこのイチジクが占めているのでので、非常に見慣れたいちじくと言って良いでしょう。また「蓬莱柿(ほうらいし)」と言われる品種は、国内に始めてきた品種と言われており、長く日本に定着している為に、在来種扱いされている事もあり「日本いちじく」とも呼ばれています。関西から九州までにある品種で、甘みと酸味のバランスのいいいちじくですが、こぶりであまり日持ちしませんので多くは出回っていません。福岡の「とよみつひめ」は非常に甘みの強い品種で、最近人気のあるいちじくです。またお尻が裂けない品種もあり、フランス原産の「ビオレ・ソリエス」は料理向きのイチジクと言えるでしょう。また、乾燥いちじくに多く用いられる「カリミルナ」や「カドタ」は白いいちじくで、缶詰にも加工されています。
「健康食品として注目されるいちじくの働きとその効能 」のまとめ
日本人の大好きな果実のひとつであるいちじくは、近年甘みの非常に強い品種も出回り、注目されている果実ですが、季節限定的な面もあり、出荷時期を見逃してしまうと、食べそこなう事もあります。