お茶にはポリフェノール類が豊富に含まれており、世界中の人々がこのお茶を嗜んでいます。お茶は古くから世界中に広められ、お茶の効能も人々の知るところとなりました。現在も昔と変わらず飲み続けられているのには訳がありました。
中国はお茶発祥の地
お茶の歴史はかなり古く、中国の神農時代にまでさかのぼる事が出来ます。伝承を参考にすると神農時代は紀元前2700年頃で、神農なる人物が野草とお茶の葉を食べていたとされています。お茶が書物の記述に現れるのは紀元前1世紀頃で、当時の医学書に記載されている事と、すぐれた効能がある事から特権階級だけに許されていた飲み物だった事は想像に容易い事でしょう。
用法は健康の為に活用していたとされており、三国時代のお茶の飲み方は茶葉を餅状に丸めたものを炙ってつき、湯をかけたあとでミカンの皮やネギ、生姜などと混ぜてスープのように煮込んだものを飲んでいたとされています。宮中では、このお茶を酒と同等のものとして扱い、賓客をもてなす時にも利用していました。
当時は蒸した茶葉をつき固めて乾燥させた餅茶が主流で、運搬や保存にも便利なことから7世紀ごろには全国で生産されるようになっていました。宋の時代になると、お茶は貴族のものから役人や文人など、富裕な民たちでも楽しめるものとなっていったのです。同時に格式化され製造法も複雑になっていきました。
お茶に含まれる健康成分
お茶には世界中にたくさんの種類があり、そのお茶それぞれに健康成分があります。日本でも親しまれている緑茶・烏龍茶・紅茶の健康成分について見てみましょう。
カテキン
お茶と言えば「カテキン」を思い浮かべる方も多いと思います。カテキンはポリフェノールの一種で、高い抗酸化作用があります。お茶に多く含まれていますが、その中でもお馴染みの緑茶には豊富なカテキンが含まれています。
カテキンの効能はこちら⇒カテキンで生活習慣病予防!
ウーロン茶ポリフェノール
日本でもすっかり定着した烏龍茶ですが、烏龍茶にはその独自の製法から生じるウーロン茶ポリフェノールが豊富に含まれています。
ウーロン茶ポリフェノールには
- 脂肪の吸収を抑える働き
- 虫歯予防効果
があります。
烏龍茶の効能はこちら⇒烏龍茶の効能・効果と活用術
また、烏龍茶にはカテキンも多く含まれています。
テアフラビン
テアフラビンは紅茶やウーロン茶に含まれる色素で、抗酸化作用のあるのポリフェノールです。テアフラビンは茶葉を発酵させる過程で生じるポリフェノールの1種で、紅茶に豊富に含まれているほか、同じく発酵の過程を経る烏龍茶にも含まれています。
テアフラビンはヒトの血中コレステロール濃度の低減に効果があります。
テアフラビンの効能はこちら⇒テアフラビンは紅茶に多く含まれる
タンニン
タンニンはお茶や柿に含まれる渋味の素となるポリフェノールの1種です。タンニンは収れん作用に優れていて、毛穴や皮脂腺を引き締めるという収れん作用から化粧品としても使われています。
タンニンについてはこちら⇒タンニンの美肌効果!
日本茶とわびさびのお茶
日本に仏教が伝来したのは飛鳥時代の事で、神代の国であった大和は、急速に中国文化を取り入れる事になります。当時の政治形態も、官職を取り入れたのも全て中国の影響で、漢字も含めあらゆる文化が日本に入って来る事になります。この時代には中国から食材も多く入ってきており、その中のひとつがこの茶葉でした。
茶葉が日本に紹介されたのは薬用としてで、庶民が口にするにはそれからしばらくの時間が必要でした。茶の木は日本の風土にも良くなじんだようで、12世紀から13世紀にかけて茶葉の作付けの奨励も行われ、全国にも幅広く広まっていき生産が行われました。
中でも茶の湯を高尚で芸術美を帯びた域まで押し上げたのは千利休で、茶の湯の心は現在もなお日本のわびさびを語る上でも欠かす事のできない人物です。当時の大名や武将は茶の湯を大いに嗜み、それと同時に庶民の間にも急速な広がりを見せたのでした。
こうして中国から日本へやって来た茶葉は、他の海外のお茶である発酵茶とは全くの別な製法で違った道を歩み始めたのです。
紅茶はこうして作られる
海外の茶葉は茶の木の種類も違うのですが、その製法が日本茶とは全く異なっています。特に大きな違いは発酵茶であるという事で、この発酵は微生物で発酵させているのではなく、茶葉自体が持っている酵素によって発酵させるという特徴を持っています。
摘み取られた茶葉は、日本茶と同じく若葉のみを摘み取ります。摘み取った茶葉は自然に水分を飛ばしますが、この茶葉をしおれさせる行程ですでに茶葉の発酵が始まっているのです。程よくしおれた茶葉は、揉捻作業を行いますが、圧力をかけて茶葉を揉む事で、茶葉の細胞は破壊され本格的な発酵が始まります。
揉捻を終えた茶葉は大きな固まりとなっているため、玉解きと呼ばれる工程を経て細かくほぐしていきます。その茶葉は温度と湿度管理の出来る機械で、じっくり酸化発酵させることになります。これらの作業は紅茶の特徴的な工程で、この作業によりフルーティな香りがひき立つと共に、発酵が進み色も次第に濃いあめ色に近くなっていくのです。
日本茶は色を大事にしますので、発酵する工程はありません。
お茶を利用した料理の数々
日本料理でお茶を利用する場面は、小魚を甘露煮にする時にお茶を利用します。よく骨を柔らかくする為だと言われますが、タンニンには骨を柔らかくする作用はありません。骨を柔らかくする原因は酒を多く使う為で長時間焚き込むせいで骨が柔らかくなっていきます。
お茶を使用するのは、この骨を柔らかくする過程で魚の身を壊さないようにするためです。タンニンには蛋白質と結びついて身を引き締める作用がありますので、身崩れを起こさせないための手段として利用されているのです。醤油で煮込まれ仕上がった甘露煮の魚の身は、しっかりした歯ごたえを残しているのがおわかりでしょう。
また、タコ料理にもお茶が使われることがあります。ゆでだこにお茶を使うと色がきれいに染まり歯触りが良くなります。お茶には消臭効果もありますので、生臭みを消す効果があります。
タンニンは赤ワインにも多く含まれ、牛肉や羊肉などの煮込み料理に使われます。肉が溶けてしまってはその存在感が無くなってしまいますので、これも煮崩れを起こさせない料理人の知恵なのです。
お茶の歴史と製法【世界中で愛される理由は豊富な健康成分】のまとめ
日本茶はお茶文化の盛んな世界の中でも、独自な文化と製法があり、現在は日本料理と共に世界で注目されている飲み物です。お茶にはビタミンCも多く含まれており、カルシウムも豊富にある為、優れた健康飲料でもあります。