なすは日本人の食生活ですっかりおなじみの野菜です。焼きなすにするとおわかりのように、意外に水分が多いものです。このなすにはアントシアニンの1種であるナスニンをはじめ、様々な健康成分が含まれています。
なすの歴史
なす(茄子)はインド東部が原産地とされている野菜で、日本でも1000年以上前から栽培されています。平城京の長屋王跡地から発見された木簡にも、ナスの粕漬が献上されていたり、正倉院にある古文書には「茄子十一斛、直一貫三百五十六文」との記述があり、大量のなすの売買が記録されているほど、その流通は盛んであったと推測されます。
茄子十一斛と言う「斛(さか)」はナスの容積の事で、一斛は一石つまり、100升という事になりますが、これは重さではく容積となります。ナスは実の味から「中酸実」から来たのが語源とされており、また夏に実が生る事から「夏美」という説もありますが、それだけなすが世間に浸透していた証でもあるのでしょう。
ナスは実成りが良く、育てるのにも比較的手間のかからない野菜でしたので、庶民の間にも浸透していきました。日本人がなすをこよなく好んでいた証拠は、その品種の多さにも表れています。日本にあるなすのほとんどは紫色をしていますが、その形や大きさは地域性が色濃く出ており、卵型の丸いものや、通常のなすの3倍ほどの長さのものもあります。
なすの効能
なすには、様々な成分が豊富に含まれている栄養価値の高い野菜です。日本のなすは紫色のものが多く、皮ごと食べる事がほとんどですので、この紫色の成分であるアントシアニンを大量に摂る事ができます。なすの特徴は、実がスポンジ状であることと水分が多いのが特性で、カロリーはあまりありません。
しかし、日本のなすは皮に「ナスニン」と呼ばれるアントシアニンの1種を豊富に含んでいます。ナスニンはポリフェノールの1種で、アントシアニンの中でも効能が高く、抗酸化作用も特に強い事が知られていて、老化予防に有効な事は有名でしょう。
また、がん予防や眼精疲労にも効果がある事がわかっており、
- 高血圧
- 心筋梗塞
- 脳梗塞
- 動脈硬化
を予防する効果が期待されている薬効を有しているのです。
ナスには強アルカリ性を示す「コリン」という機能性成分が含まれており、この成分は血圧やコレステロールを下げる効果があるほか、動脈硬化を防いでくれたり、胃液の分泌を促す役割を果たしてくれますので、肝臓の働きをサポートしてくれる役割を果たしてくれます。
そもそもポリフェノールとは?
最近耳にすることの多いポリフェノールですが、このポリフェノールとは
ほとんどすべての植物に含まれる、植物特有の色素や苦み・渋み成分
を総称したものです。その種類は5000を超えるともいわれています。
ポリフェノールにはこんなにもの種類が!⇒ポリフェノールの驚きの種類!
なすの成分を美味しく摂る調理法
なすには口内炎や胃炎の症状を抑えたり、肝炎や関節炎などの痛みを弱めて、症状を改善する働きもあります。また神経痛や痔にも非常に有効な成分があると言われており、この有効成分を効率よく摂るには、料理にも少し工夫が必要です。
なすには有効な成分であるアントシアニンであるナスニンが特に多いので、これを取るように心がけましょう。同じ様にアントシアニンが多いブドウの皮は、残念ながら食べる習慣がありませんが、なすは基本的に皮ごと食べる料理が多いので、好都合とも言えるでしょう。
なすは生食でも食べられる野菜ですので、漬物などにも良く利用されますが、品種によっては皮が硬いなすも多いのが現実です。そこで床漬けにする際に半分切りにしたなすの皮目に、傷をつける程度の切れ込みを細かく入れて塩もみしておきましょう。ナスの床漬けは皮の色が飛びやすいので、塩にミョウバンを少し混ぜて、その塩をすり込んでおくと真っ青な色が定着します。料理は色目が大事ですので、こうした心遣いも大事な調理法です。
家庭菜園で作るなす
なすは家庭菜園で、プランターでも育てる事のできる園芸野菜です。種からも育てることはできますが、丈夫な苗までに育てるには時間がかかってしまう野菜です。したがって苗から購入するのが理想で、接ぎ木のしてある苗ならば、連作しても問題ありません。プランターで育てますので、大型品種は敬遠してなるべく小さめの品種にすると良いでしょう。
土は通常の野菜用の土でよく、元肥を仕込んで用意しておけば後は植えるだけです。苗を植える時の注意点は、苗同士の間隔を十分に開けておく事が大事で、風通しを良くすることで病害を防ぎます。育てるコツは、なすの主枝と次の枝を育てることに重点を置き、下から生えてくるわき目は取って行きます。葉は栄養を蓄えるのに大事なものですので、虫害が起きないように小まめに葉裏をみておきましょう。
花が咲いたら受粉させて実を付けますが、沢山実を付けてしまいますと小ぶりになりますので注意が必要です。この時点で追い肥を行いますが、真夏を過ぎたら一旦枝先を切って、切り戻しを行うと秋に再び収穫する事ができます。
なすの知られざる健康効果【ナスニンが効く】のまとめ
なすは栄養価が低く、ヘルシーですので美容やダイエットにも最適な野菜です。栄養効果は高く、生食以外にも油料理には相性抜群です。ヘルシーな分、油で補うのも料理の知恵ですので、こうした料理も取り入れます。