カルシウムは骨を丈夫にする効果で知られていますが、他にも私たちの身体に必要な多くの効果を持っています。例えばカルシウムが不足していると高血圧や動脈硬化などを引き起こす原因にもなります。ここではカルシウム不足で起こる高血圧の危険性や予防方法をご紹介します。
カルシウム不足が高血圧に繋がる?
そもそも、なぜカルシウムが不足すると高血圧になりやすいのでしょうか?高血圧と聞くと塩分の取りすぎが原因と聞くことも多いですが、カルシウム不足が原因で起こる高血圧は、カルシウムがカルシウム自体の不足分を補おうとする働きから出る症状です。
体内のカルシウムの99%は骨に蓄えられていますが、残りの1%が筋肉や血液に含まれており健康な身体を保っています。この骨以外で働くカルシウムは、筋肉の収縮や脳への神経信号の伝達にも関わっているのです。
そのため、体内のカルシウムが不足すると、それを補おうと骨から血液へカルシウムが送られます。骨からカルシウムが送られ続けることでカルシウムの過剰摂取をしている訳ではないのに血液内のカルシウム濃度が高くなり1%を超え過剰な状態となります。
すると、血液に送り出されたカルシウムが血管壁に取り込まれ壁が収縮し、血液の流れを悪くしてしまい高血圧に繋がるのです。この状態が悪化すると血管壁に過剰に増えたカルシウムが付着し石灰化して動脈硬化の原因となり高血圧が更に進行してしまうのです。
高血圧の人がカルシウムの摂取量に注意しなければいけないと言われるのは、このカルシウムが身体の機能を保つためにカルシウム不足を補う働きから生じるマイナス要因があるからです。
1日に必要なカルシウム摂取量
カルシウム不足を予防する為に日本人に必要な1日の摂取量は
成人の場合600mg~800mg(厚生労働省:日本人の食事摂取基準(2010年版)
とされていますが、日本人の平均摂取量は531mg(厚生労働省:平成19年国民健康・栄養調査)ほどで、年代別の20代~50代を対象にした調査(国民栄養調査)でも全ての年代で1日の摂取量の必要とされる量を下回る結果です。
特に働き盛りの
- 20代は464mg
- 30代は475mg
とカルシウム不足の深刻な結果が出ています。
栄養バランスが考えられている学校給食が支給されている小学生や中学生の場合は、カルシウムを摂取しやすいです。しかし高校や大学に上がると、学校給食の代わりに外食などが増えて、栄養バランスのよい食生活が難しくなることで、カルシウム不足に繋がります。年代別でも高校生や大学生が中心となる20代前後は最もカルシウム摂取量が少ないです。
この他にも日本人のカルシウム不足の原因は様々あり、
- カルシウムを摂取しやすい乳製品が和食に少ない
- 日本ではカルシウムの含有率が多い硬水が少ない
などの原因があげられます。そのため慢性的に日本人はカルシウム不足になりやすく高血圧などに繋がるのです。
効率のいいカルシウムの取り方
カルシウムを豊富に含んでいる食材は
- 牛乳
- チーズ
などの乳製品が代表的ですが、
他にも
- 豆腐などの大豆製品
- 緑黄色野菜
- シシャモやイワシと言った小魚類
などに多く含まれています。
更にひじきや切り干し大根といった乾物類などを食事に取り入れると、少量でも多くのカルシウムを摂取することが出来ます。
カルシウムは体内での吸収力が低いので、その働きを助けてくれるビタミンDが含まれる食材と組み合わせることでより効率的に摂取できます。
ビタミンDの働きについてはこちら⇒ビタミンDは冬季うつ対策に効果アリ
ビタミンDは
- 卵
- 魚介類
- きのこ類
に多く含まれています。また紫外線を浴びると体内でビタミンDが生成されるので、食事での摂取が難しい場合はウォーキングなどの屋外での運動で補うなどの方法もあります。
カルシウムを効率よく摂取する為には吸収力を妨げる食べ物に注意することが必要です。スナック菓子やインスタント食品、お酒などは摂り過ぎるとリンやアルコールがカルシウムの吸収を妨げます。リンは過剰に摂取するとカルシウムを尿の中に出してしまい体外へ排出してしまいます。
アルコールも腸でのカルシウムの吸収を妨げるので食べ過ぎ、飲み過ぎには気を付けるようにしましょう。
カルシウムの吸収率についてはこちら⇒カルシウムの食品ごとの吸収率
カルシウムをサプリメントで補う
働き盛りで時間がとれない人やバランスのよい食事を続けるのが難しい人にはサプリメントで摂取する方法も有効です。
1日に最低必要とされる600mgを取る場合、カルシウムが多く入っている牛乳ではコップ1杯分(200cc)で200mg入っているので3杯分(600cc)相当で600mg摂取できる計算です。ただ、摂取したカルシウムがすべて身体に吸収されるわけではなく、牛乳の吸収率は40%ほどなので、大半は体外に排出されてしまいます。
サプリメントは不足分を手軽に摂取できるので、食事からの摂取が難しい人に向いています。体内での吸収率に優れている原料を使用し、また、吸収を助けるマグネシウム、ビタミンDが配合されているサプリメントもあるので、毎日の食事では難しいカルシウムを効率よく摂取できるように作られています。
ただし、サプリメントはその吸収効率の良さからカルシウムの取りすぎによる高血圧に繋がる可能性もあるので、1日の上限である2300mgを超えないよう注意して下さい。
日頃の不足分を補う方法としてサプリメントを補助的に活用することをお勧めします。
カルシウムと血圧の関係【不足すると高血圧に?】のまとめ
イライラすることが多かったり高血圧の症状がある人は必要なカルシウムが不足しているかもしれません。健康な身体を保つためにカルシウムを食事やサプリメントから上手に取り入れ日頃の生活を快適にしましょう。