昆布は美味しいダシを取ったり、煮物に加えたりなど、料理になくてはならない食材です。その昆布は美味しいだけでなく、私たちの免疫力をあげたり、歯を守るのに役立つ働きをしたりと、健康維持にも役立つ食品だと言われています。今回は昆布に含まれる成分のどんな働きにより、それらの作用を期待できるのかを紹介します。
免疫力を高める昆布のネバネバ成分
季節の変わり目や冬の空気がカラカラに乾燥するシーズンは免疫力が下がり、風邪などをひきやすくなってしまいます。昆布に含まれる2種類のネバネバ成分はそんな弱った体を強くし、免疫力をあげる作用があると注目されています。
アルギン酸
昆布に含まれるネバネバ成分の一つはアルギン酸です。アルギン酸は食物繊維の一種で、昆布のぬめりを作っています。アルギン酸は腸内で便を出すように働きかけるので、腸の環境を整える作用を持っています。免疫の7割は腸と関係していると言われているように、小腸には免疫細胞達が多く存在しています。
そのため、腸の調子を良くすることで免疫機能をきちんと働かせることができます。
フコイダン
同じく昆布に含まれるネバネバ成分にフコイダンがあります。フコイダンは
- ナチュラルキラー細胞
- T細胞
を活性化すると言われています。この2つは免疫細胞で、ナチュラルキラー細胞は体の中の監視役で、ウイルスを見つけると退治しにいきます。
T細胞は
- ウイルスに感染した細胞を見つけ出す
- その感染した細胞を処理する
- 免疫細胞が過度に攻撃しないように調整する
などといった働きを持っています。フコイダンを摂ることでこれらの免疫機能を良く働かせ免疫力をあげる効果を期待できます。
昆布のうまみ成分グルタミン酸で免疫力を上げる
昆布にはグルタミン酸という成分も含まれています。グルタミン酸はアミノ酸の一種で、昆布の美味しさの素となっています。またグルタミン酸は唾液が出るように働きかける作用があると言われています。唾液は、あご下や、耳下などにある唾液腺という場所から分泌されています。一日に約1リットルは分泌されているようです。
この唾液には水分の他に、
- リゾチーム
- ラクトフェリン
- ヒスタチン
- ペルオキシダーゼ
などの殺菌作用のある成分を含んでいます。口は多くのウイルスや細菌が体に入ってくる場所でもあるので、殺菌作用のある唾液を出すことで免疫力をアップできます。
また、唾液には洗浄や保湿する働きもあります。ウイルスの入ってきやすい口や喉には粘性のある液体が常に存在し、外部から侵入するウイルス・雑菌から守っていますが、唾液はその粘膜についたウイルスを洗い流したり、粘膜に潤いをもたせたりしています。
口や喉が乾燥するとウイルスにやられやすくなるので、いつも潤った状態にしておくのは免疫力を働かせるのに大切なことだと言えます。ですから、昆布に含まれるグルタミン酸の唾液を分泌させる働きにより、免疫力アップする効果を期待できます。
唾液を分泌させるグルタミン酸は歯にも良い
昆布に含まれるグルタミン酸の唾液を分泌させる働きは、歯の健康を保つのにも役立つと言えます。
先に触れたように、唾液には洗浄作用があります。そのため食べものの食べカスが歯に付着するのを防いでくれます。歯に食べかすが残るとそれをエサにする細菌が歯に増えてしまいます。この細菌が歯垢として歯の健康を害する原因となってしまうのです。
グルタミン酸の唾液の分泌を促す働きで
- 唾液の洗浄作用で細菌の集合体である歯垢にエサを残さないようにする
- 唾液自体に含まれる殺菌成分で細菌を増やさないようにする
という効果を期待できます。
また食事をすると、その中の糖分を使って細菌が酸を作ります。そして、その酸が歯の表面を溶かしてしまいます。しかし唾液が出ることで口の中を中性に戻すことができ、唾液に含まれるカルシウムなどのミネラル成分により、酸によって溶かされた歯の表面を修復する事ができます。
私たちの口の中ではこのように酸性⇔中性といったサイクルが行われていますが、唾液が出なくなると中性に戻りにくくなり修復作業も滞ってしまいます。その状況が続くと酸が歯に穴が開くほど溶かしてしまうといったことが起こりえます。ですから歯の健康の為にも唾液は大切な働きをしていると言えます。
このような仕組みにより、昆布に含まれるグルタミン酸は歯の健康にも役立つことがわかります。
免疫力と歯に良い昆布のミネラル分やリラックス作用
昆布には
- カルシウム
- マグネシウム
- リン
などのミネラル成分も含まれています。
これらのミネラル成分は健康な歯を作るためには必要不可欠です。少し意外に感じますが、昆布に含まれるカルシウムの量は牛乳に含まれているカルシウムの5倍程だと言われています。
カルシウムやリンは、酸に溶かされてしまった歯の修復を行うためにも必要な成分です。そして、カルシウムがきちんと機能するためにはマグネシウムも必要で、ストレスを緩和し自律神経を整えるためにも共同して働いています。
免疫や歯の健康に役立つ唾液の分泌は、ストレスがかかることで減少してしまう事があります。逆に自律神経が正常になり、副交感神経が優位になりリラックスできると分泌されやすくなります。
ですから昆布に含まれる成分はこの点からも免疫系や歯に良い働きを期待できると言えます。
昆布で免疫力向上!【歯も守るおいしい働き】のまとめ
昆布のネバネバ成分やうま味成分は腸の環境を良くしたり、唾液を分泌させる働きがあり、免疫力を高めるのにその効能を期待できることがわかります。また昆布に意外と多く含まれるミネラル類も歯を作りその健康を守るのに役立ちます。昆布に含まれるこれらの成分は普段の料理で使うこともできますし、サプリメントから補うこともできます。