ファイトケミカル、最近耳にするようになった言葉です。美容や健康について最近話題になるのが抗酸化力というキーワードです。人間が生きていく上で必要な酸素が、時と場合によっては人体に悪影響を及ぼすことがあるのがわかった今、対抗措置を取らなければなりません。ファイトケミカルはそうした意味でも、心強い味方として最近注目されています。
ファイトケミカルとは
ファイトケミカルとは、植物栄養素を意味している言葉の事で、健康を維持していくにあたり何らかの良い効能がある成分を意味しています。「フィトケミカル」とも言いますが、このフィトとファイトは同義語で、ギリシャ語で植物を意味している言葉なのです。
このファィトケミカルは第6の栄養素とも呼ばれるほど大事な栄養素で、植物由来の成分であるという事を頭に入れておくと良いでしょう。
ファイトケミカルはあまりなじみのない言葉ですがその歴史は古く、古代ギリシャ時代からその効能が知られていました。今から2400年ほど前の高名な医者であったヒポクラテスは、葉の裏が白い柳の樹皮や葉に薬効がある事を知り、風邪薬や鎮痛剤に用いていました。
恐らく柳の枝を歯ブラシ代わりに使っていた事から、痛みを取り除く作用がある事を知ったのでしょう。この柳から抽出される成分は現代医学でも一般的に使われる「アスピリン」という薬だったのです。
医学の父ヒポクラテス
ファイトケミカルを語るには、やはりヒポクラテスの名前は外せないでしょう。ヒポクラテスは医学の父とも呼ばれ、現代医学の根幹を作った人物でした。彼の残した「人生は短く、術のみちは長い」という言葉は、数千年も経った今でも語り継がれている名言でもあります。
彼の偉大なる足跡は、これまで呪術的な医学であった医療を、臨床と観察を重んじる経験科学へと導いた功績でしょう。それまで病気は神の与えた罰や呪いの仕業であり、祈りやまじないを捧げる事により治癒を目指していたのです。
こうした古いしきたりや迷信を打ち破るには、並大抵のことではなかったはずです。2000年後の中世においても、新しい発見や開発などは宗教裁判の対象となり、死を賭さなばならなかったほどです。彼はのちにヒポクラテス全集を残し、医学の礎を築いたのでした。
自然環境や政治的環境が肉体の健康に及ぼす影響を記した事でも、先駆者として名を馳せています。現代医学では否定されていますが、血液や粘液、黄胆汁に黒胆汁からなる四体液説を唱え、これらの調和が大事と唱えており、臨床検査と観察の技術は現代でも見習われているのです。
ファイトケミカルの効能
ファイトケミカルの効能は、現代医学でも多く取り入れられています。ファイトケミカルは植物が持つ香り成分、辛み成分や色素などから発見されました。これらは人が生きていく上で必要な栄養素ではありませんが、病気になった場合にその成分で治療したり、予防効果にも大いに役立っているものです。
また、美容効果のあるデトックスやアンチエイジングにも活用されており、その有用性の為に第6の栄養素とも言われるのです。
他にもファィトケミカルには抗がん作用がある成分が多い事が挙げられます。日本人の死因でトップに上げられる程がんの発症する率は高く、多くのがん保険もあります。現在はこうした成分の含まれる健康食品やサプリメントもありますので、がんの予防に取り入れてみるのも良いですね。
ファイトケミカル食品の利用
ファィトケミカルの1つに、ブドウや黒米にベリー類といった濃い紫色の色素に抗酸化作用が高い事で知られているアントシアニンがあります。アントシアニンはビタミンPとも呼ばれるポリフェノールの1種で、アントシアニンのような植物に含まれる辛みや匂い成分、そして色素には抗酸化作用が多い成分がある事を頭に入れて摂食していきましょう。
ポリフェノールについてはこちら⇒ポリフェノールの驚きの種類!
こうしたポリフェノール類を含む食品は高い抗酸化作用を期待できるものが数多くあります。有名なブルーベリーや赤ワインをはじめ、実に様々な飲食物に含まれています。
また、大豆に多く含まれるイソフラボンは更年期障害改善や骨粗しょう症予防にも大変効果のあるものとされているのです。
トマトやスイカに含まれるリコピンは、熱に強く油との相性がいいのが特徴で、トマトのリコピンはケチャップや濃縮してソースにする事で、生のトマトよりも多く効率的に摂る事ができます。スイカなども濃縮され、水果糖として利尿剤や腎臓の薬として利用されていました。
抗酸化作用があり、解毒効果やがん予防が期待されているものには、有機硫黄化合物と呼ばれるものがあり、代表的なにんにくを始め、ブロッコリースプラウトなどが挙げられます。
ファイトケミカルで心身を丈夫に!【抗酸化力に優れる天然成分】のまとめ
ファイトケミカルを有効に摂るには、素材を生かした調理の方法が必要となります。香りを重視するのであれば生食が有効ですが、葉物野菜には体に好ましくないシュウ酸を多く含むものもあり、注意しなければなりません。