リノール酸は悪玉コレステロールを減少させるとともにスキンケアなどにも効果がある必須脂肪酸で体内では合成することができないため、経口摂取で不足分を補わなければならないといわれています。
リノール酸の摂取
必須脂肪酸のひとつであるリノール酸は多価不飽和脂肪酸、オメガ6脂肪酸として血中の悪玉コレステロールを減らす作用があり、不足すると発育不全や生殖不能、脂肪肝臓やアレルギー性症状の悪化、脳や神経系の異常など様々な影響が出てくるといわれています。脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸である一価・多価脂肪酸がありますが、それぞれ過不足なく摂ることとバランスよく摂ることが求められています。理想的には、飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸の割合が3:4:3であるといわれており、さらに多価不飽和脂肪酸はオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の割合が1:4といわれています。
アメリカでは不飽和脂肪酸のひとつであるトランス脂肪酸を含む食品の摂取について大きな話題となることがありました。ファストフードやいわゆるジャンクフードに含まれることが多く、幸福感を高める中毒性さえあるともいわれました。健康を維持するために体に不可欠な必須脂肪酸と区別して摂取の仕方についてきちんと考える必要があるといえるでしょう。必須脂肪酸であるリノール酸も通常の食事でも簡単に摂取することができるため、不足よりも摂取し過ぎに気をつけましょう。
リノール酸の不足
ダイエットに一生懸命な女性はたくさんいます。炭水化物の摂取を極力抑える糖質ダイエットとともに脂質を全てカットした食事を摂る方もいますが、脂質を完全に摂らないことによる弊害もあります。リノール酸は植物油全般に含まれる必須脂肪酸ですが、この植物性の油であってもカットし続けると乾燥肌などの肌荒れの症状が出やすくなるとともに悪玉コレステロールが増えて動脈硬化や高血圧などの生活習慣病を発症するリスクが高くなってしまいます。健康な生活を維持するために必要であるための必須脂肪酸であるため、不足しないように注意することが必要です。
必須脂肪酸が不足すると炎症系の疾患にかかりやすくなるともいわれています。脂質の一種である必須脂肪酸は、体内で生理活性物質に変換され、免疫機能のコントロールなどの体内システムを調整する物資として作用します。必須脂肪酸が不足すると、細胞の活性化が抑制され、細胞壁に含まれる脂肪酸の組成が通常とは異なった働きをしてしまうため肌の新陳代謝が真っ先に影響を受けることになります。全身の代謝機能も敵化してしまい血液によって栄養分がうまく運ばれなくなってしまいます。様々な病気を発症するリスクが高くなるため、必要摂取量は維持しなければなりません。
リノール酸の不足とアトピー性皮膚炎
リノール酸には、肌の保湿や抗炎症作用、アンチエイジングなどスキンケア効果が認められており化粧品やスキンケアグッズにもよく使用されています。アトピー性皮膚炎には悪影響があるという人もいますが、ある報告では、リノール酸が不足することによって初期症状として手首から肘にかけて肌の一部がかさつき少し白くなりその後徐々に症状が悪化して湿疹に悩まされるようなったというものもあります。
就寝時、布団に入ると背中やお腹の柔らかい部分の皮膚に湿疹が出て痒くてたまらなくなり、朝には治まるというタンパク質過剰型の湿疹に似た症状となります。また、リノール酸が不足すると動物性脂肪の摂取を少なくしても動物性脂肪型の湿疹が出るようになり、リノール酸を摂取すると徐々にその症状が緩和されていきます。動物性脂肪を多く摂取している人はリノール酸不足の状態になりやすく、リノール酸の量が増えることによって動物性脂肪が体外に排出されているのがわかるそうです。アトピー性皮膚炎の症状がある方にとってリノール酸の摂取はとても重要なものといえます。
必須脂肪酸はバランスが大切
必須脂肪酸は健康や美容に欠かすことができないものであると同時にバランスよく摂取することが必要なものです。うつ病患者の脂肪酸の割合を調査したところ、オメガ3系脂肪酸がオメガ6系脂肪酸よりも少ないことがわかり、リノール酸の摂取を抑えてα-リノレン酸を多く摂るようにしたところ症状が改善されたという例もあります。また、リノール酸はアラキドン酸に変換されることがありますが、この過程でイノコサイドも生成されアレルギー症状が悪化してしまうという話もあります。
リノール酸はかなり前からコレステロール値を下げる体によい油であると有名になり、量産されて安価で手に入ることができるようになったことから広く一般に普及するものとなりました。コンビニで販売されている弁当やスナック菓子、ドレッシングやマヨネーズなど市販品にも多く使用されていますが、摂り過ぎることによってアレルギーやアトピーの症状が出やすくなるという例もあります。逆にアトピー性皮膚炎はリノール酸が不足することによって症状が悪化するともいわれています。つまり、摂取量や他の脂肪酸とのバランスによって良くも悪くも効果が出てしまうということです。バランスをしっかりと保ちながら摂取することが必要といえるでしょう。
「必須脂肪酸であるリノール酸が不足するとどうような影響があるかについて」のまとめ
リノール酸はオメガ6脂肪酸と呼ばれる必須脂肪酸のひとつであり、不足すると肌荒れや生活習慣病の発症リスクが高まるといわれています。しかし摂り過ぎると悪影響もでるためバランスのよい摂取が大切です。