リンゴ酸は最初にりんごから発見されたために、この名がつけられています。リンゴ酸には爽やかな酸味がありますので、添加物としてドリンク類などにも利用されていますが、その効能には驚くほど有効な働きがあったのです。
世界に誇れる日本のりんご
世界でもりんごの歴史はかなり古く、トルコでは8000年前のりんごが炭化した状態で見つかったことで驚かれた方も多いかと思います。古代エジプトでは有名なナイル川のデルタ地帯でりんごの栽培が行われており、古代ギリシャでは接ぎ木の方法まで記された記録が残されているほど、多くの需要があったことがわかります。
さらにローマ時代にはりんごの品種が載った本も発行されていましたので、かなり人気のあった果物だったことがうかがい知れます。
日本には平安時代に中国から入って来たとされており、和りんごや地りんごなどと言われていました。りんごの栽培が本格的に行われたのが、青森ではなく北海道函館市だったと言うのも驚きですね。日本ではりんごの品種改良が頻繁に行われており、現在では200種を超える品種があります。
中でも「世界一」と呼ばれる品種の大きさはまさにビッグサイズで、外国人たちから驚きのまなざしで見られるのだといいます。海外のりんごは現在でも小さな品種で、日本の小さな品種よりもまだ小さいものが主流です。1785年にりんごからリンゴ酸が発見されました
クエン酸回路とリンゴ酸
クエン酸回路というものをご存知でしょうか。クエン酸回路はクエン酸サイクルというものを形成しており、このサイクルで疲労物質と言われる乳酸をエネルギーに変換しています。クエン酸回路では人間が栄養素としている糖質や脂質、そして蛋白質を摂取し消化する過程でこの回路に組み込み、様々な酸を作り出しながらエネルギーに変換しています。
このクエン酸回路はまさに究極のリサイクル施設であり、クエン酸を根幹にした回路は、オキサロ酢酸とアセチルCoA(アセチルコエンザイムエー、アセチルコエー)が結合しクエン酸になり、そのクエン酸がアコニット酸を生成します。
さらにアコニット酸がイソクエン酸を生成し、
- オキサロコハク酸
- ケトグルタル酸
- スクシニルCoA
- コハク酸
- フマル酸
- リンゴ酸
というサイクルを繰り返し、再びリンゴ酸からオキサロ酢酸が作り出されるという工程が繰り返し行われているのです。このサイクルの過程の各工程ごとにエネルギーを作り出しており、このサイクルの中にビタミンやミネラルも働きかけています。
ここで作り出されるエネルギーは、体を保持することに使われるほか、見る聞くなどの五感に作用するだけでなく、筋肉を動かすエネルギーとして絶えず使われています。
リンゴ酸の効能
疲労回復の促進
リンゴ酸はクエン酸サイクルの中で生成される物質の1つですが、これを摂取することで一つの工程が省かれることになります。つまり、このサイクルのスピードを促進させる効果がありますので、エネルギー変換を促進させる働きに繋がってきます。
また、このサイクルでは乳酸をサイクル内に取り込むことでエネルギーに再利用しますので、同時に乳酸の分解を速めることになります。ご存知の通り、乳酸は疲労物質として筋肉などから生成されていますので、生成のサイクルを速めるということは、疲労回復も早まるということに繋がるのです。クエン酸とリンゴ酸に同じ効果がみられるのは、こうしたサイクルの輪に入っているからなのです。
血糖値を下げる
また、体に直接かかわる効能には、疲労を回復する効果のほかにも、血糖値を下げる作用があり、食欲を増進させる効果もあるとされています。さらに炎症を抑える作用もあり、胃腸などの整腸作用が期待できます。
こうしてリンゴ酸を摂取することでクエン酸サイクルが活性化され、血液の浄化を始め自然治癒力の効果アップも期待できるわけです。
リンゴ酸を効率よく摂ろう
リンゴ酸を含む食品には
- りんご
- いちご
- 梅
- トマト
などが挙げられます。他にもぶどうにも含まれており、ワイン造りの作用にも一役買っていることもよく知られています。また、リンゴ酸はビタミンB群とも非常に相性が良く、相乗効果が期待できるとあって、同時に摂取することで効率のいい働きを期待できます。
ビタミンの中でも、効果の定まっているものは、
- リポフラピン
- ナイアシン
- チアミン
- パントテン酸
で、こうしたビタミンを一緒に配合しているサプリメントも現在発売されているようです。
食材として相性が良いものは
- マグロ
- かつお
などの魚介類のほかに
- 豚肉
- 豆類
- 卵
- 乳製品
などが挙げられます。バランスのいい食事を心がけると共に、こうした食材を積極的に摂り入れていきましょう。
リンゴ酸は油とも相性が良く、相性の良いトマトには抗酸化作用に優れたリコピンなども含まれているので、パスタなどの料理に最適なほか、煮込み料理やソースで召し上がると効果的です。
りんごは寒い時には冷たくて食べにくいものですが、芯を半分くらい抜いてバターを乗せてそのまま焼きりんごにすると、温かいデザートとして召し上がることができます。
リンゴ酸の優れた健康効果【世界に誇る日本のりんご】のまとめ
リンゴ酸はクエン酸回路の中の重要な位置を占める成分の一つで、疲労回復にも大きく関わっています。またサイクルの流れを良くすることで、血液浄化や活性作用を促しますので、サプリメントなどと併用するのが良いでしょう。