ヨーロッパ諸国やアメリカなどでは、このノコギリヤシが民間医療で一定の効果がある事が示されており、薬品にもなっています。ただし、サプリなどで多量に摂取するには注意点などもあり、医師との相談も勧められています。
ノコギリヤシの副作用
ノコギリヤシは、近年サプリメントや健康食品などが販売されていますので、その摂取についてはいくつかの注意点が必要となります。まず摂取に対する注意点ですが、過剰摂取には次のような副作用が報告されています。主なものとしては吐き気や嘔吐、または便秘や下痢、腹部不快感に腹痛など体質に合わず起こると思われる胃腸症状や、めまいに不眠や疲労に頭痛などがあり、筋肉痛や高血圧症などが報告されています。しかし、これらの症状は軽度のものであり、注意を促すような症状には至っていません。
ただし、服用によって症状が改善される事により、前立腺がんが見逃されてしまうという欠点が指摘されています。また、副作用によって膵臓や肝臓に障害が出る事もあり、妊婦や手術前の人が使う事で、命に関わる危険性もありますので見逃す事は出来ないでしょう。ノコギリパルメットを利用している場合には、前立腺に関わる症状が安定してくる場合がありますが、効能は症状を緩和する事であって、前立腺肥大を食い止めるという効果は一切ありませんのでこうした注意点が必要なのです。
ノコギリヤシの歴史
ノコギリパルメットはアメリカ大陸では、食用にするだけでなく原住民の間の強壮剤や利尿に、鎮静効果のある民間薬としても活用されていたのです。これは、ノコギリパルメットに抗炎症作用があるからで、前立腺の炎症を抑えていると考えられています。中国でも「棕櫚子」の名前で漢方薬として知られており、薬効は同じく古くから泌尿器疾患の患者に利用されてきました。さらに19世紀に入ると、このお茶が前立腺肥大症の治療にも利用されるようになって来たのです。
20世紀に入ると、ヨーロッパでも果実の油性成分が、この効果をもたらしているとわかって来たのでした。そしてそして1990年にフランスの医学博士であるシャンポール氏がこのノコギリパルメットの有効成分には、前立腺肥大症に特異的な効き目があるとの報告を行った為に、ヨーロッパでも医学の世界で、大変な注目を浴びたのです。そして、ヨーロッパでは泌尿器科医から高く評価され、ノコギリパルメットエキスは有効な薬効がある事で、医療品として次々発売されて行きました。そして、どの成分がどう効いているのかも次第にわかって来たのです。
ノコギリヤシと5αリダクターゼ
ノコギリパルメットがなぜ前立腺肥大に効果があるのか、それは果実に含まれている脂肪酸などに、その有効成分がある事がわかってきました。人間の体内には「リダクターゼ」という酵素が存在していますが、これは男性ホルモンと深く関わっている成分です。このリダクターゼには、1型5αリダクターゼと2型5αリダクターゼがありますが、1型5αリダクターゼは頭部の皮脂腺にあるもので、側頭部と後頭部の位置に多く存在しています。脂性の方は特にこの部分が油っぽいのが、その特徴と言えるでしょう。
そして、2型5αリダクターゼは毛乳頭に多く存在するもので、毛乳頭とは毛根にある根元の部分で、毛髪だけではなく体毛の全てにこの毛乳頭があり、この部分から発毛が行われているのです。またこのすぐ下の細胞には、毛母細胞がありこれらの毛を作り出しているおおもとです。2型5αリダクターゼは、前立腺と前頭部および頭頂部の毛乳頭にあるもので、前頭部や頭頂部が薄くなるタイプの方は、この2型5αリダクターゼが、深く関与しているために、そうした現象が起こってくるのです。
ノコギリヤシ服用の注意点
5α-リダクターゼは、男性ホルモンの影響で刺激されます。女性の薄毛が、更年期を経て始まるのにも、男性ホルモンが強く出る事で、そうした現象が起こるのです。ムダ毛が濃くなるのも同じ原因で、女性ホルモンの減少は様々な異変を引き起こしますので注意点として挙げる事ができます。ノコギリパルメットエキスの成分には、こうした5α-リダクターゼの働きを、弱めてくれる成分であると考えられています。
ノコギリパルメットが、前立腺などの泌尿器系の改善に役立つのに、関連性のないと思われた頭部の薄毛にも関わっているとされているのは、こうした考えからでした。しかし、いまだ研究中の分野の為、はっきりとした効果が出ていない今は、そうしたサプリなど注意点が必要でしょう。また、服用に際しては、血液の粘度を下げる効果があるとされていますので、病院で抗血液凝固薬や抗血小板薬の投与を受けている方は、ノコギリヤシを併用すると出血が止まりにくい事がありますので注意が必要です。
「ノコギリヤシの摂取についての注意点と摂り方 」のまとめ
ノコギリヤシの服用に際しては、まず自分が前立腺肥大であるかの検査が必要です。そして服用に際しては、医師の判断も必要であり、服用に際しても効果が直ぐに現れるものではないという事を、理解しておきましょう。