モロヘイヤは一般の食品としてスーパーでも緑黄色野菜の棚に陳列されており、比較的手に入れやすい食材です。豊富なビタミンとミネラルを含んでいるモロヘイヤの摂り方の注意や効果的な調理法について考えます。
モロヘイヤについて
モロヘイヤはシナノキ科ツナソ属の緑黄色野菜で、ビタミンやミネラルなどの栄養成分が豊富に含まれている食品です。北アフリカが原産地といわれており、高温の乾燥地帯でも成長できる強い生命力と高い栄養価から注目を集めています。古くは世界三大美女の一人であるクレオパトラも食したとされ、エジプト王の重病を完治させて「王様の野菜」として取り扱われることもあったそうです。日本では1980年頃から栽培が始められ、エジプトの言葉で「王様の野菜」を意味する「モロヘイヤ」という名前が付けられました。
それまで栄養分が豊富であるとしてよく知られていたホウレンソウと比較して、
などの栄養成分がより多く含まれていることで一気に注目を浴びるようになり、一般家庭でも手軽に食べられる食品として親しまれるようになりました。
国内では群馬県における生産量が最も多く、三重県や沖縄県などでも栽培されています。モロヘイヤの旬は夏ですが、ハウス栽培では4月から10月にかけて出荷の最盛期を迎えます。
モロヘイヤの栽培
緑黄色野菜の一種であるモロヘイヤは、家庭菜園で栽培することも不可能ではありません。ただ、モロヘイヤの種子や枝部分には「ストロファンチジン」という毒成分が含まれていることがわかっており、「ストロファンチジン」は昔、アフリカの原住民が毒矢に用いていたものと同じ成分であるともいわれています。
ストロファンチジンを摂取してしまうと吐き気や下痢の症状が生じ、時として死に至る危険性もあります。青果物店やスーパーなどに並んでいるモロヘイヤは種子や枝などの部分が取り除かれているので安心して買い求めることができますが、家庭菜園で栽培されたモロヘイヤを利用する際には細心の注意が必要となります。
もともと手入れや管理が大変なためモロヘイヤは家庭菜園に向かないといわれていますし、小さなお子さんやペットがいる家庭では誤飲の可能性もあるため、自宅で栽培するのは控えた方がいいでしょう。丁寧に種子や枝部分を取り除いたつもりでも食べる際に毒成分が全く残っていないという保証もありません。
市場で流通しているものは安全・安心なため、モロヘイヤの葉が一枚ずつしっかりとついていてつやがあり、茎が折れるほどに葉が茂っている色鮮やかなものを買い求めるといいでしょう。
モロヘイヤに含まれるシュウ酸
モロヘイヤは食品として豊富に含まれる成分を、通常の野菜と同様の摂り方で体内に取り入れることができます。モロヘイヤは主に葉の部分を食用としており、スーパーなどで購入する際には葉全体が濃い緑色をした新鮮なものを選ぶようにしましょう。
モロヘイヤは生で食べると独特のえぐみがあるので摂り方としては茹でたり、炒めたりといった加熱調理が一般的です。刻むと独特の粘りが出てくる為、さっと茹でておひたしなどで食べるのもおすすめですが、モロヘイヤにはホウレンソウと同様にアクの原因となるシュウ酸が含まれています。
シュウ酸は摂取し過ぎると腎臓結石などを引き起こす原因ともなるので、食べる前のアク抜きは必要です。サッと茹でて水にさらして使用するとえぐみもなくおいしくいただけます。熱に弱いビタミンやミネラルを含んでいるので長時間の加熱処理を避けることが栄養成分の効果的な摂り方といえるでしょう。細かく刻んでそのままご飯や納豆、豆腐にかけてもいいでしょうし、あらかじめ茹でてアクを抜いたものをできあがる直前の味噌汁やスープに入れて食べるのもおすすめです。
栄養価がとても高いモロヘイヤですが、クセがなくて食べやすいため他の食品と同様に様々な料理にアレンジして楽しむことができます。
モロヘイヤの効果的な摂取の方法
モロヘイヤは栄養豊富な緑黄色野菜として比較的安価に手に入れることができ、クセのなさから
- おひたし
- あえ物
- 炒め物
- 天婦羅
などに幅広く利用することができます。生以外であればどんな調理法で食べてもおいしくいただけますが、モロヘイヤに含まれているビタミンAの吸収率をあげたいのであれば、油で炒めるのがおすすめです。豚肉やネギやニラなどの食材と一緒に摂取することで食物繊維の吸収もよくなります。
また、大量に購入できた時は、
- 葉の部分のみを摘んで水気を切って冷蔵庫で保存
- 茹でたあとにラップに包んで冷凍庫で保存
したりすれば、調理の際の手間を省くこともが可能です。濃い緑色で見た目からも豊富な栄養成分を含んでいるモロヘイヤは、えぐみさえ気にならなければ生で食べるのがもっともよい摂り方といえるのでしょうが、なかなか難しいものです。
最近ではモロヘイヤを
- 乾燥させてお茶のように煎じて摂取する方法
- ケールなどの他の野菜とブレンドして青汁として飲用する方法
など様々な摂り方ができるようになっています。若い方や単身生活で、野菜が不足しがちだけれど調理がなかなかできないという方は、錠剤などで手軽に栄養成分が摂取できるサプリメントもあるので試してみる価値はあるといえます。
モロヘイヤはビタミン・ミネラルの宝庫!【王様の野菜の利用法】のまとめ
豊富な栄養成分を含むモロヘイヤには毒性を含む部分もあり、家庭で栽培するのには向いていません。また、調理法の工夫によってアクを抜き他の食品と一緒に食べることでより効果的な摂り方が可能となります。