ナトリウム

[監修済] 神経機能を正しく機能させてくれるナトリウムの働き

ナトリウムはミネラルの一種で食塩の主成分です。血圧を気にする方は特に塩分と聞くといいイメージがなく避けられがちな存在ですが、ナトリウムには私たちの神経機能を正常に働かす作用があります。今回は人間の神経機能とナトリウムがどうかかわっているのか、その仕組みについてご紹介します。

体にある様々な神経

私たちの体には神経が張り巡らされています。大きく分けると中枢神経と末梢神経の二種類あります。中枢神経は脳と脊髄から成っている中央司令塔のような存在です。末梢神経は体の隅々まで張り巡らされていて、中枢神経と情報のやり取りを行っています。末梢神経は左右12対あり、眼球を動かしたり、目を開ける筋肉に作用する視神経や、表情筋などにかかわる顔面神経、平衡感覚を大脳に伝える内耳神経、大部分が副交感神経にかかわる迷走神経などがあります。また末梢神経は自律神経とも深くかかわっています。心臓を動かしている心筋や臓器に張り巡っている平滑筋という筋肉は、この自律神経が支配しているために、自分の思いで動かすことはできない筋肉です。それゆえ自律神経が正常に働かないとこれらの臓器に悪影響が及んでいきます。こういった神経の伝達をスムーズに伝えて神経機能を正常に働かせるためにナトリウムが大きな役割を果たしています。

ナトリウムは神経伝達に不可欠

神経機能を持つ細胞達は、電気のような信号を送ることで情報を伝えあっています。伝えるべき情報を得た神経細胞は興奮し、電流が発生します。これを活動電位といいますが、この時にナトリウムが働くことで電流が生み出されています。どういう仕方でナトリウムから電流が生み出されているのでしょうか。私たちの体は細胞でできていますが、細胞と細胞の間には組織液が満ちています。この細胞の外にある液の成分の主なものがナトリウムです。涙をなめたときにしょっぱく感じるのは私たちの体液にこのナトリウムが含まれているからです。細胞の中の液には主にカリウムが入っていて、普段は外にあるカリウムと中にあるカリウムのバランスを保って水分量を調節し、神経系を正常化しています。細胞は薄い膜で覆われていて、そこにナトリウムなどの電解質などが行き来するためのゲートである、イオンポンプというたんぱく質が埋め込まれています。これが神経伝達物質により刺激されると、ゲートが開いてナトリウムイオンが細胞の中に流れ込み、細胞内の電位に変化が起こります。カリウムとナトリウムがこのように行ったり来たりを繰り返すことで、電位が変わっていき電流が発生します。この電流がシナプスに届いて、神経伝達物質が次のニューロンへ伝えてという繰り返しで情報が伝わっていくのです。ナトリウムは電流を起こすという仕事に大きくかかわっているので、神経機能には欠かせません。

ナトリウムが不足すると…

神経機能に欠かせない電気信号を発生させるナトリウムが不足してしまうと、当然いろいろなところに不調が出てきます。先に述べたように心臓を覆う筋肉や平滑筋は神経によって動かされているので、神経に命令がうまく伝わらない状況では、正常に動かすことができなくなってしまいます。それら自分の意思とは関係ないところで動いている筋肉は、伸縮できなくなったり、逆に痙攣をおこしたりする可能性があります。またナトリウムが不足すると、神経機能の一部である自律神経にも影響が及びます。自律神経は交感神経と副交感神経から成っていて感情や睡眠とも深いかかわりがあります。この自律神経のバランスが崩れてしまうと、気分がふさぎ込むなどのうつ症状が出たり、なかなか眠れないといった症状や、物忘れがひどくなるといった影響も出てくるので注意が必要です。

バランスが大切

いくらナトリウムが神経機能を正常に働かせるのに必要だと言っても、バランスは大切です。実際体にはカリウムとナトリウムのバランスを保つ機能がついているのですから、食物を摂り入れる私たちも気を付けなければなりません。もしナトリウムを多く摂りすぎると、細胞の中と外で保たれていたバランスが崩れてしまいます。そうなると精神的にはイライラしやすくなり、興奮状態に陥る可能性があります。また喉が渇いたり痙攣するなどといった症状が出る場合もあるので、増えすぎにも注意が必要です。ナトリウムは食塩から摂ることができ様々な食品に含まれているので、普通は足りなくなることはないと言えますが、ものすごい量の汗をかいたときや、ひどい下痢をした場合は不足することもあるので気を付けましょう。

「神経機能を正しく機能させてくれるナトリウムの働き」のまとめ

ナトリウムは電解質で、体の中で電気信号を出して神経機能を正常に働かすという大切な役割を持っています。不足することは滅多にありませんが、大量に汗をかいたり、ひどい下痢をしたりといった場合には不足しやすいので、汗をかきやすい夏場などは注意して、体の中のナトリウムバランスが崩れてしまわないように気を付けましょう。

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