スレオニンは生命を維持するうえで必要となる必須アミノ酸のなかで、最後に発見されたものです。スレオニンにはどのような特徴や効果があるのでしょうか。また、摂取の仕方や不足状態、過剰摂取状態の問題点を考えます。
新しいアミノ酸であるスレオニン(トレオニン)
スレオニン(トレオニン)は生命を維持するために欠かすことができない必須アミノ酸のひとつです。自然界には500種類ほどのアミノ酸が存在するといわれています。体内のタンパク質を構成するアミノ酸には20種類がありますが、そのなかで最後に発見されたものです。スレオニンは様々な活動をするうえでのエネルギー源となるグルコースの材料にもなるもので、健康を維持しながら生活していくには必要不可欠な栄養素といえます。
認知度の低いスレオニンですが、私たちは知らず知らずのうちにスレオニンが含まれた物を経口摂取していることをご存知でしょうか。
実は食肉類にスレオニンが含まれているのです。動物の体内で自然合成されたスレオニンではなく、畜産用の飼料に添加されたものなのです。家畜は小麦やとうもろこしなどの飼料を餌としていますが、それだけではアミノ酸が不足してしまうためスレオニンが添加されるようになりました。
例えば、小麦にスレオニンと同じ必須アミノ酸であるリジンを加えると飼料に含まれるタンパク質の栄養価が50%も上昇するといわれています。飼料へのスレオニンの添加が始まったのは20世紀後半のことなので、いかにスレオニンがいかに新しいアミノ酸かということがわかるでしょう。
食物から摂取するスレオニン
スレオニンは体内で合成することができないため、食物から摂取する必要があります。
スレオニンは、
- 鶏肉
- 七面鳥
- 豚肉
などの肉類や
- かつお
- 鮭
- くろまぐろ
- しらす干し
などの魚介類のほかに、鶏卵や大豆食品やゼラチンなどに含まれています。
スレオニンは動物性タンパク質に多く含まれている成分であるため、炭水化物や野菜中心の食事を摂っている方には不足しがちな栄養素といえるでしょう。しかし、スレオニンは肉や魚など含まれている食物が多様であるため、毎日の食卓で無理して摂取することもないでしょう。
魚を食べる場合には焼き魚よりも煮魚にして煮汁に溶けだしたゼラチン質も一緒に食べるとスレオニンを多く摂取できます。スレオニンはタンパク質を多く含む食べ物に含まれていることが多く、体にアミノ酸が必要であることがうかがえます。
バランスのよい食事を摂ることが大切ですが、ベジタリアンであったり、アレルギーがあったりしてなかなか思うようにタンパク質が摂れない場合にはサプリメントを上手に活用して摂取するといいでしょう。
スレオニンの効果
脂っこい食事が中心であったり、アルコールの飲み過ぎであったりすると肝臓に中性脂肪が蓄積され脂肪肝になります。脂肪肝の状態が長く継続すると動脈硬化などの生活習慣病を引き起こす可能性もあり、生活習慣の改善が必要となります。
スレオニンには代謝を促して肝臓に脂肪が蓄積するのを抑制してくれる働きがあります。また、新陳代謝を促すため細胞分裂が活発になり成長を促進する働きもあります。
スレオニンには天然保湿成分も含まれているため、肌の潤いを高める保湿性があります。また、肌の角質層にある細胞の活性化や真皮に存在するコラーゲンの合成を促進して肌トラブルを防ぎ、肌を健康な状態に保つ効果が期待できます。
さらに、肌だけでなく毛髪の潤いを保ちハリをだす効果もあります。毛髪は主にケラチンと呼ばれるタンパク質からできていますが、ケラチンを構成する18種類のアミノ酸のひとつがスレオニンなので、積極的に摂取することでツヤやハリを感じることができるのです。
スレオニンの不足と過剰摂取
スレオニンには胃の炎症を抑制する効果もあることから、経口摂取しても胃を荒らすようなことがありません。
体内では合成されない必須アミノ酸なので、スレオニンが不足してしまうと
- 貧血
- 食欲不振
- 体重の減少
などの原因となってしまうこともあります。
スレオニンの一日の摂取量の目安は0.5g程度といわれています。バランスのよい食事で質のいいタンパク質を毎回摂取できれば不足を心配することはないでしょうが、そうでなければサプリメントで効率よく補給した方がよいでしょう。
スレオニンは体内で新しい細胞を作りだしたり、胃酸の分泌バランスを調整したりする大切な機能を果たす栄養素であり、成長にも欠かすことができないものです。
食べ物やサプリメントでの積極的な補給が必要ですが、過剰摂取すると胃腸障害や頭痛などの症状がでる可能性もあります。日常の食事だけで過剰摂取する可能性は低いと考えられますがサプリメントを使って摂取する際には含有量や服用する回数などに留意する必要があります。
スレオニンの効能・効果【最後に発見された必須アミノ酸】のまとめ
成長の促進や肝臓に脂肪が蓄積するのを抑制する効果などが認められているスレオニンは、必須アミノ酸のひとつで体内で合成されないため経口摂取で適切な量を効率よく補給しなければなりません。