西洋料理にはよく使われるフェンネルですが、おもに魚料理に使われるハーブとして有名でしょう。ハーブには、苦みのあるものや香りのきついものもありますが、生薬にも使われている事をご存知でしょうか。
フェンネルとは
和名でウイキョウというと、このフェンネルのことを指しており、作物としての利用は歴史的にもかなり古い植物で、地中海沿岸が原産と言われています。ウイキョウを漢字で書くと茴香で「大茴香はトウシキミ」とういうシキミ属にあたる植物です。トウシキミはアニスターと呼ばれる香辛料で、中華ではハッカクと言い、五香粉(ウーシャンフェン)として中華料理では馴染み深いものでしょう。シキミの仲間でもありますが、全くの別物で日本に神社に良く植えられるシキミは毒性がかなり強く、線香の材料などにされるもので、トウシキミと実もよく似ていますが香りも違い別物です。
茴香は、スパイスとして香りが大茴香に似ている為、混同されますが、こちらはセリ科の為効能も全く違ったもので、健胃薬や風邪に咳止めとして使われ、現在はタミフルの原料にもされているので有名でしょう。茴香は漢方では古くからとして生薬に用いられており、健胃整腸や鎮痛作用があり、去痰にも利用されているもので、眼がはっきりと覚めるとされる駆風効果もあると言われています。
フェンネルの成分
果実には油分が含まれており、蒸して圧搾する事で精油を得る事ができます。種の5%から10%を含んでおり、その主成分となるものがアネトールで、他にもエストラゴールやメチルカビコール、シネオールにリモネン、フェランドレンやピネンなどが含まれています。香り成分には、フェノール類であるアネトールが香りの主な成分で、70%から80%の割合を占めており、他にもモノテルペン炭化水素類である、リモネンやα-フェランドレン、ケトン類のフェンコンが含まれています。
主成分であるtrans-アネトールは、女性ホルモンである「エストラゲン」と似た作用があると言われており、妊娠中や授乳中などの方には注意が必要で、てんかんの方はその危険度が増す可能性があります。西洋では、スパイスとして葉の部分を魚料理に使うほか、スープやソースに使用されるほかピクルスなどにも利用します。種は粉にしてスパイスとして使われます。用途は同じですが、インドではカリーに使われたりするほか、中国ではハッカクと共に五香粉に入れられています。油は精油として、アロマオイルにも利用されています。
フェンネルの効能
フェンネルはギリシャ語の語源で、痩せると言う意味合いがあると言われていますが、実際にダイエット効果が期待されています。利尿作用と発汗作用があり、消化酵素の分泌を刺激して健胃さようがあるほか、腸内細菌に作用して、腸内環境を整える効果もありますので、便秘にも効果的でデトックス効果も期待できます。香り成分には食欲を抑える効果もあるとされており、ダイエットには最適なハーブと言えるでしょう。
また、冷えによる胃の痛みや消化不良の改善にも効果があるとされ、ガスを排出効果が期待できますので、おなかの張りなども改善する事ができると言われます。抽出したオイルの効果は、お湯で成分を揮発させたて吸い込んだり、肌に直接塗る事で炎症を抑える効果が期待できますが、実験では飲用する事で、疝痛を改善すると言う実験結果も出されています。疝痛とは子供や女性の方に多い症状で、急な差し込みでお腹が痛んだりする事です。これは平滑筋の異常収縮によって起こるとされているもので、一定の周期で再び痛みが訪れると言う特徴を持っています。
フェンネルの利用法
西洋料理では、ブーケガルニに使われる香辛料としても欠かせないものですが、玉ねぎのように肥大する鱗茎部分も食用にされています。スライスしてサラダに使われるほか、シチューやスープにと煮込み料理にも使われています。古代ローマには強壮用の食物として収穫されており、薬草としての利用価値も高かったようです。中世ヨーロッパでは、多く栽培されており、特にフェンネルの種子は目に良く効く薬とされ、煎じた水で目を洗う事も行われていたようです。
若返りの効果もあると信じられており、煎じたお湯を入浴剤として使用したり、家庭の常備薬としても消化促進や咳止めなどに利用されていたとされています。中国でも薬効の高いものとして利用されており、日本でも漢方の生薬として利用されてきた歴史があるのです。フェンネルの独自の香りは料理によく合い、また利用されてきました。パンを焼く際にも香り付けに使用したりと、様々な利用法で活用されて来たのです。アロマオイルとしても利用頻度があり、お湯に垂らして吸い込む事で咳止めにも効果があります。また塗る事で、関節炎やリュウマチの痛みを緩和する効果があるそうです。
「料理に美味しく利用できるフェンネルの効能」のまとめ
フェンネルは、日本でも最近はスーパーでよく見かけるようになってきたハーブのひとつで、乾燥した粉末スパイスや、アニスシードなども売られています。サプリメントなどもありますので、これも併用していくと良いでしょう。