人間の活動においてなくてはならないエネルギー源、それは糖質です。糖質が含まれている食べ物の代表といえば、米やパン、麺類などの主食、スイーツ類です。確かに、これらの食べ物は魅力的ですが、食生活の欧米化により、現代人は糖質を過剰摂取しがちです。糖質は、身体を動かすエネルギー源である一方、過剰摂取に陥ると万病を引き起こす原因となってしまいます。
糖質の摂りすぎは生活習慣病の原因
食べ物や飲み物から摂取した糖質は、全てが人間の活動におけるエネルギー源となるわけではありません。消化、分解、吸収された後、一部のみが細胞を動かすエネルギー源となるのです。そして、その他の糖質は、肝臓の肝グリコーゲン、筋肉の筋グリコーゲンとして貯蔵され、運動や勉強をする際のエネルギー源として使用されます。
ところが、細胞を動かすエネルギー源、グリコーゲンとして使用されるエネルギー源に当てはまらなかった余分な糖質は、中性脂肪になって蓄積されます。肝臓や脂肪細胞において中性脂肪が蓄積され続けると、肥満や脂肪肝といった恐ろしい症状に悩まされることになります。
また、糖質は消化されるとブドウ糖となりますが、ブドウ糖が血液中で満タン以上になると、たんぱく質と結合し糖化という現象が起こります。糖化が起きた際、終末糖化産物という有毒物質が発生するのですが、この終末糖化産物こそ体内の老化を悪化させる原因です。終末糖化産物は、骨や肌を老化させるだけでなく、心筋梗塞や脳梗塞に繋がる可能性もあります。
さらに、糖化によって血液の質が悪化し、血の流れを滞らせます。本来、正常な血の流れの場合、血液によって新しい栄養や酸素を体内の細胞に行き渡らせますが、それが不可能となってしまうのです。そうなると、身体には古い栄養や酸素の残りカス、いわゆる老廃物や二酸化炭素が溜め込まれ、リンパの巡りが停滞し体調不良に陥ります。
最悪の場合、肝臓や腎臓の免疫機能が衰え、神経痛や関節痛、歯周病といった様々な感染症を引き起こしてしまうのです。もちろん、老化は体内のことに限ったことではありません。リンパの巡りが停滞するということは、肩コリや顔のコリに繋がり、コリによって太って見えたり、むくんでパンパンになったりと美容面でも悪影響が出ます。
血糖値のコントロールが不可能に
現代人の食生活は、非常に欧米化が進んでいます。米に一汁三菜といった和食であれば問題はありませんが、「パスタ×パン」「ピザ×パスタ」「パンケーキ×生クリーム」といった組み合わせは糖質の摂りすぎです。とはいえ、和食であっても「うどん×丼もの」「ご飯×お好み焼き」といった組み合わせも要注意です。
糖質の過剰摂取が日常的に行われると、血糖値をコントロールする能力が低下してしまいます。ゆくゆくは高血糖となり、そして糖尿病まで症状が進行します。血糖値が正常であれば糖尿病は回避できますが、現代人の多くは正常と糖尿病の中間である境界型に当てはまります。境界型は、「いつでも正常に戻せる」のではなく「いつ糖尿病になってもおかしくない」という糖尿病予備軍に位置しているので油断は禁物です。
糖尿病予備軍の方は、食事をした後、血糖値が異様に高く上がってしまうのが特徴です。食後に、バタリと倒れてしまいそうな眠気を感じる方は、血糖値が異様に高く上がっている可能性があり、もしかしたら糖尿病予備軍かもしれません。
正しい糖質の摂取量
糖質を摂りすぎると危険だからといって、無理な糖質制限をしてしまうのは様々なリスクが懸念されます。エネルギー不足により集中力の低下、ストレス、リバウンドなど、糖質を制限すればするほどいいというワケではありません。
厚生労働省が定める1日の糖質摂取量は、女性であれば260g程度です。これは、年齢が30代・40代で座り仕事、運動なしの場合を対象としています。この対象の場合であれば、1日に必要なカロリーは1,700カロリー程度で、その中の1,000カロリー程度が糖質であることが望ましいとされています。ですので、年齢的に若い方、立ち仕事の方、日常的に運動をしている方であれば、260g以上の糖質が必要です。また、妊娠中は栄養が多量に胎児に流れ込む為、妊婦の方の場合も260g以上が適量と言えるでしょう。
糖質が不足した場合のリスク
糖質は、過剰摂取しても不足しても健康に害を与えてしまいます。不足した場合、一番大きなリスクはケトン体の増加です。体内から糖質が消化された後のブドウ糖が欠乏すると、脂質からエネルギーがつくられます。この現象の際、ケトン体が生産されるのですが、ケトン体が増加することで嘔吐などの症状が出てしまいます。
脂肪を燃焼してエネルギーをつくることは、ダイエットに関して効果的ではあるのですが、行きすぎると昏睡状態にまで発展してしまいます。健康な方なら多少は大丈夫ですが、糖尿病患者の方は非常にリスキーです。短期間で痩せると定評があった「炭水化物抜きダイエット」には、このような落とし穴も潜んでいます。
また、糖質が不足すると、身体だけでなく精神状態も不安定に傾いてしまいます。精神状態を健全に保つには、脳に糖質であるブドウ糖を満たしておかなければなりません。脳のエネルギー源は、唯一、ブドウ糖からのみ補えるからです。脳からブドウ糖が枯渇すれば、イライラはもちろん、不眠症やストレス過多による様々な不調を招きます。
「糖質を摂りすぎると危険?!過剰摂取による怖すぎるトラブルと対策法」のまとめ
糖質と上手に付き合うのは、正しい摂取量を守ることが一番の近道です。過剰摂取や不足に気をつけて、健康的な身体づくりを目指しましょう。