グリセリンは、その吸湿性の高さから、保湿を狙いとした化粧品に多く配合されています。グリセリンが配合された化粧品は保湿効果に優れ、アンチエイジングで親しまれているヒアルロン酸とも相性抜群です。このグリセリンと同じく、素晴らしい保湿効果を持つのがワセリンですが、グリセリンとワセリンには大きな違いがあります。
グリセリンとワセリン、それぞれの性質
動物や植物、人間の体内に含まれているグリセリンは、アルコールの一種です。色も臭いもなく、ぬめりのある手触りで、水に溶けやすいのが特徴です。見た目こそ他と大差ない物質ですが、味に少し甘みがあります。グリセリンには血流促進を促す作用がある為、日本の医療現場で狭心症の治療などに役立てられています。また、その甘みを活かして甘味料として利用されたり、保湿を狙って化粧品に配合されたりしています。
ワセリンの方と言えば、こちらは天然由来の原油を精製した上でできた保湿剤です。非常にベタベタとした手触りで臭いも独特ですが、保湿効果においては優秀です。単に外から保湿をするのではなく、皮膚が持つ本来の回復能力を手助けしてくれます。その能力の高さから、そのまま「ワセリン」という名の化粧品が販売されるほどです。天然由来であるワセリンは肌への刺激が少なく、ひどい敏感肌の方でも使用が可能です。また、皮膚科ではアトピーの方に処方される事も珍しくありません。
グリセリンとワセリン、どちらも優れた保湿効果を持ちますが、外気に弱いというデメリットがあります。その為、グリセリンやワセリンが配合された化粧品は、必ず蓋を締めて保管しましょう。外気に触れると変質してしまいます。
グリセリンとワセリン、それぞれの効果
グリセリンとワセリン、この二つは保湿効果に優れた物質です。とはいえ、この保湿効果の内容は全く別物です。グリセリンには、保湿効果で乾燥によって強張った肌を柔らかく導いてくれます。ターンオーバーの乱れによって溜まった角質を柔らかく除去し、もちもちとした肌へと変えてくれます。肌が硬いままでは、どんなに良い化粧品を使っても肌の奥深くへ浸透する事はありません。グリセリンで肌を柔らかくする事で、化粧水やクリームの浸透をスムーズに促し、白くふんわりとした肌が完成します。更に、グリセリンはヒアルロン酸と相性が良く、一緒に配合される事で保湿効果が増します。
一方でワセリンは、皮膚が持つ本来の回復能力を手助けするという効果があります。肌のバリア機能を正常化させ、元々の素肌を美しく保ってくれるのです。グリセリンと違ってワセリンが肌の内部へ浸透する事はなく、あくまで肌の表面に滞在します。肌の表面に滞在しながら、傷ついた皮膚の回復能力を通常のレベルへと戻そうとする為、敏感肌やアトピーに悩む方も安心して使用する事ができます。
グリセリン、ワセリン、それぞれのスキンケア方法
強力な保湿効果を発揮するグリセリンとワセリンは、その性質を活かしスキンケアに取り入れる方が多数います。それぞれ、人気のスキンケア方法を紹介します。
まずグリセリンを使用したスキンケア方法ですが、グリセリンの水に溶けやすい性質を利用すれば簡単に化粧水を手作りできます。水90ccにグリセリン5ccを混ぜ合わせるだけで出来上がりです。グリセリンは、濃度が高すぎるとトラブルに発展する為、保湿効果を高めたいからと言って必要以上に混ぜ合わせないように注意しましょう。濃度は、5~10%が人間の肌に使用するにあたっては適度な量です。
次に、ワセリンを使用したスキンケア方法です。ワセリンの肌の表面に滞在するという性質を利用するなら、ハンドクリームやボディクリームがふさわしいと言えるでしょう。ワセリン20g、精油などの植物オイル80gを混ぜ合わせて手作りします。テクスチャーが硬すぎて肌の表面に伸ばしにくい場合は、植物オイルの分量を多めに調節してください。
抗酸化作用を持つホホバオイルであれば変質しにくい為、植物オイルを選ぶ際は参考にしてください。
グリセリン、ワセリン、それぞれの副作用は?
それぞれ高い保湿効果に優れ、手作りの化粧水やハンドクリーム、ボディクリームで楽しめるグリセリン、ワセリンですが、使用の際は注意点があります。グリセリンは、濃度が高すぎると蒸発してしまうという弱点があります。濃度が高いから保湿効果も高いのではなく、あくまで適量に従って正しく使用しましょう。グリセリンの割合には気をつけ、反対に肌を傷つけるような結果にならないよう注意してください。ワセリンに関しては特に注意点はなく、赤ちゃんに塗っても問題ないとは言われています。皮膚科で処方される事も多いワセリンですから、敏感肌やアトピーに悩む方はワセリンを選ぶ方が安心かもしれません。
「優秀な保湿成分グリセリン!ワセリンとの違いとは?」のまとめ
どちらも素晴らしい保湿効果を持ち、手作り化粧品とも親しまれている物質です。自分の悩みや肌質、使いたい身体の部位に合わせて選ぶようにしましょう。