キナ酸

[監修済] 意外と知っているようで知らない?キナ酸が持つ能力について

キナ酸はコーヒー豆やクランベリーなどの果物に多く含まれる物質で、抗菌・殺菌作用をはじめとしてさまざまな健康効果があることで知られています。最近ではフルーツから抽出したキナ酸のサプリメントもドラッグストアなどで簡単に入手できるようになりました。

キナ酸は植物由来の化学物質

キナ酸は南アメリカ原産の「キナ」というアカネ科樹木の樹皮から発見された、かすかな酸味が特徴の有機酸です。キナ酸はキナの樹皮以外にも、コーヒー豆、クランベリー、キウイ、グレープフルーツ、リンゴ、モモなどに多く含まれています。

キナ酸は古くから薬として使用されていた成分で、 その効能からかつては日本でも多くの医薬品に配合されている時代もありました。しかし、アレルギーなど安全性の問題から日本では使用されなくなり、現在ではサプリメントなどで使用されるようになっています。

キナ酸は植物由来の化学物質、いわゆるファイトケミカルのひとつです。ファイトケミカルとは、たんぱく質、脂質、炭水化物、ビタミン、ミネラル、そして食物繊維に次ぐ第7の栄養素とも呼ばれる物質で、野菜や果物など植物の香り、色素、アクなどに含まれています。多くのファイトケミカルが抗酸化作用を持つことから、最近ではアンチエイジングに効果があるとして注目されています。

キナ酸には膀胱炎や尿路感染症を防ぐ効果がある

キナ酸の主な効能のひとつとして、膀胱や尿道の感染症を防ぐことが挙げられます。人間の尿は普段は弱酸性に保たれています。これは大腸菌などの細菌類がアルカリ性を好むためといわれています。しかしpHバランスが崩れてアルカリ性に傾くと大腸菌などの細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎や尿路感染症の原因になります。

キナ酸は体内に入ると肝臓での代謝を経て馬尿酸という物質に変化し、尿を酸性に保つことで膀胱炎や尿路感染症、腎于炎などを予防する効果があります。キナ酸を多く含む果実であるクランベリーを摂取することで、膀胱炎の発症経験がある女性の再発を防ぐことができたという研究報告もあります。そのほかにも、馬尿酸にはその他にも尿の臭いや濁り、結石ができるのを防ぐ効果があるといわれています。

キナ酸はコーヒーのおいしさにも深くかかわっている

生のコーヒー豆に含まれているキナ酸は少し特殊で、その多くがカフェ酸やフェルラ酸などの桂皮酸誘導体と結合したクロロゲン酸類として存在しています。このクロロゲン酸類とは、一般的に自然界に存在するポリフェノールのことです。コーヒー豆に含まれるクロロゲン酸類は全成分の5~10%を占めるといわれ、その量はカフェインの含有量の5倍以上にもなるといいます。

クロロゲン酸は熱と水を加えられると化学反応を起こすため、コーヒー豆を焙煎する際にキナ酸と桂皮酸誘導体とに加水分解されます。クロロゲン酸類はコーヒーの渋味や雑味、酸味のもとになっていると考えられています。渋味のもととして有名なタンニンも、このクロロゲン酸の一種です。

コーヒー豆の焙煎の仕方によってカフェオイルキナ酸の変化する量も違ってくるため、それによって苦みや酸味のバランスが変化し、コーヒー全体の味が変わってくるということになります。このことから、キナ酸はコーヒーのおいしさを決める重要な要素のひとつであるといえるでしょう。

キナ酸にはアルツハイマーの予防効果が期待されている

コーヒーに含まれているキナ酸の一種であるカフェオイルキナ酸は、最近ではアルツハイマー病の予防にも効果的であるとされ注目を集めています。

アルツハイマー病は認知症の一種で、脳の神経細胞の減少と脳の萎縮によりさまざまな症状を引き起こします。代表的な症状としては、記憶障害、日付や時間が分からなくなる、自分のいる場所が分からなくなる、物を盗られたなどの被害妄想、暴言、暴力、徘徊などがあります。

アルツハイマー病は社会の高齢化に伴い近年増加の一途をたどっている疾患ですが、これまで効果的な予防法や根本的な治療法がない疾患とされていました。現在アルツハイマー病は、脳にアミロイドβやタウなどの特殊なたんぱく質が蓄積して老人斑と呼ばれる塊になり、神経細胞が破壊されることで起こると考えられています。

カフェオイルキナ酸は神経細胞を保護してタンパク質に破壊されることを予防したり、神経細胞を保護する種類のたんぱく質の生成を促進する作用があるため、アルツハイマー病の予防に効果があるといわれるようになりました。

現在でもキナ酸にかかわる物質の効果について多くの研究が行われている

キナ酸と他の物質からなるクロロゲン酸類には、まだまだ多様な健康効果があるとして研究対象となっています。

最近では活性酸素を抑制して体の老化を防ぐ抗酸化作用があることから、アンチエイジングへの効果も期待される健康・美容成分としてポリフェノールが有名になりました。また、脂肪の蓄積を抑制する効果もあるとされ、ダイエットサポートの食品やサプリメントなどに使用されています。

そのほかにも血糖値の上昇抑制、血圧の改善、癌の予防など、さまざまな効果があるという研究報告があります。

「意外と知っているようで知らない?キナ酸が持つ能力について」のまとめ

膀胱炎やアルツハイマー病は男性よりも女性に多い病気といわれています。アンチエイジング効果やダイエット効果が期待できることからも、キナ酸は女性の強い味方になってくれる成分といえそうです。コーヒーやサプリメントの過剰摂取は健康に悪影響を与えることもあるので、適量を守って摂取していきましょう。

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