腸内善玉菌である乳酸菌の栄養分となるラクトースは日本人にはその分解が難しいといわれています。ラクトースが多く含まれている食品や効果的な摂り方、ラクトースと日本人の体質などについて考えます。
ラクトースを含むチーズ
ラクトースはその成分の摂り方として母乳や牛乳だけでなく食品からも栄養をエネルギーに変えることが可能です。乳製品のなかでも料理のよく使用されるチーズはその代表食品ともいえ様々な味わい方ができるのも魅力です。チーズは500種類を超えるほどたくさんあり、大きくナチュラルチーズとプロセスチーズの2つ分けられます。タンパク質や脂肪、ビタミンAやナイアシンなどが含まれており、発酵食品であるため栄養が豊富であるのに消化がいいというのも魅力です。
チーズには100g中にリンが600㎎、カルシウムが600㎎程度含まれており、ラクトースを活性化させる乳酸菌の働きによって骨を丈夫にし、健全な成長を促すのにもピッタリといえます。チーズには牛乳の約10倍もの脂肪やたんぱく質が含まれています。日本人にはラクトースを分解することができない人が多いといわれていますが、牛乳を加工したチーズはラクトースの含有量が少なくなるため、チーズを食べても下痢の症状が出にくく子どもでも安心して食べられるのも魅力といえるでしょう。
ヨーグルトで摂取
チーズと並んで乳製品としてよく食べられるヨーグルトにもラクトースが含まれており手軽でおいしい摂り方のひとつといえるでしょう。ヨーグルトの効能というと腸内環境の改善がよく知られています。大腸は摂取した食品から栄養を吸収し、不要物や老廃物を排泄するという健康に直結した器官でありたくさんの腸内細菌が住みついています。腸内細菌が大腸の働きを左右するといっても過言ではなく100種類以上も存在する腸内細菌の中でいかに善玉菌を活性化させるかが重要になります。
ヨーグルトに含まれる乳酸菌にも様々な種類がありますが、その乳酸菌の栄養となる物がラクトースであるためヨーグルトを食べると大量の善玉菌である乳酸菌を送り込み、さらにラクトースが乳酸菌を増殖させるという相乗効果が得られるものと考えられます。市販のヨーグルトのほとんどは加熱あるいは殺菌処理をしているため乳酸菌が生きたまま腸まで届くことは少ないといわれています。しかし、死んだ乳酸菌でも分解されたラクトースと同様に腸内の善玉菌の栄養となるため結果的には善玉菌を増やすことになります。
乳糖不耐症
ラクトースを含む食品として一般的なものが牛乳ですが、牛乳を飲むとお腹の調子を壊してしまうという人が多いのも事実です。これは摂取されたラクトースを小腸で分解、吸収することができずに大腸で発酵して脂肪酸や二酸化炭素ガスなどが発生し、小腸を刺激するために起こる症状です。このような症状のことを乳糖不耐症といいます。日本人の実に8割以上が乳糖不耐性であるといわれており、牛乳を飲むのに不向きな人が圧倒的に多いのです。
乳糖不耐症の原因としては、乳糖分解酵素であるラクターゼが欠損、あるいは不足、遺伝による先天性の乳糖不耐症、腸内細菌のバランスの乱れ、免疫力の低下によるウイルスなどの影響が考えられます。乳幼児に乳糖不耐症はよくみられますが成人していても免疫力が低下している時に突然、症状が表れることもあります。乳糖不耐症の症状が重い人は下痢だけでなく腹部のけいれんなどを引き起こす原因となることもあるのでラクトースの摂取は避けた方がいいでしょう。牛乳の代用品として豆乳やライスミルクなどを摂取する方法もあります。
ラクトースを分解したものを摂取
乳糖不耐症の人はラクトースを含む牛乳を摂取することが難しいのですが、最近ではラクトースの一部をあらかじめ分解した牛乳も販売されています。乳糖分解酵素であるラクターゼをあらかじめ添加してブドウ糖とガラクトースに変化させているため、お腹の調子を崩すことがあまりありません。ラクトースを含むヨーグルトやナチュラルチーズも発酵の過程で乳酸菌の働きによりラクトースの一部が分解されているので安心して摂取することができます。
乳糖不耐症が気になる方はラクトースの摂取よりも乳酸菌サプリを活用する方が腸内で善玉菌を増やせる効果的な摂り方といえるでしょう。下痢などの症状に悩まされることなく腸内の善玉菌を増殖して活性化させて腸内環境を改善することができるため免疫力や自然治癒力を高めることが期待できます。日本人は欧米人に比べて乳糖分解酵素が不足しているといわれているので乳糖不耐症の有無を見極めながら自分に合った摂り方で腸内環境を整えるように心がけましょう。
「腸内環境に関わりのあるラクトースが含まれる食品とその摂り方について」のまとめ
ラクトースは重要なエネルギー源であるとともに腸内環境を整える乳酸菌の栄養分となる大切な成分です。ラクトースを含む食品はいくつかありますが、乳糖不耐症に留意した摂り方が必要となります。