アスパラガスは、昭和の時代ではもっぱら缶詰が主流でした。しかし、現在は栽培方法も確立されており、日本の農家でも多く生産されるようになってきました。また、青果の緑の種類や白い種類も売られています。
日本でのアスパラガスの生産
食用で輸入されたのは明治に入ってからで、本格的に栽培され始めたのは大正時代の頃でした。当時はまだ、アスパラの食文化はほとんどなく、もっぱら輸出用の缶詰に加工されていましたが、高度成長期に入ると国内での需要も高まって来て、グリーンアスパラが国内でも出回る事になりました。日本で最初に栽培がおこなわれたのは北海道で、農学博士であった下田喜久三氏によって、この栽培が広まる事になります。下田氏は北海道でも自作できるようにと、自生していた「ホタルグサ」と交配して、その土地に合うように品種改良を行ったのです。アスパラは根茎から発生する新芽の茎を食用にするもので、その種類にはホワイトアスパラとグリーンアスパラとがあり、ホワイトアスパラは白ネギと同じ様に、土寄せを行う事で日光をさえぎり、白化させるものなのです。また、ウドと同じ様に地下や洞窟などの、日光が当たらない場所で栽培を行う事もでき、最近はこのホワイトアスパラもスーパーで見かけますが、もともとの主力はこのホワイトアスパラで、缶詰にされていました。
アスパラガスの栄養素とその効能
アスパラは古くからその効能が知られており、利尿作用や健胃作用に利用され、特に疲労回復には良く効くとされてきました。茎を食べる野菜としては以外にも多くのタンパク質を含んでおり、その中でもアミノ酸の一つであるアスパラギン酸が多く含まれるという特徴がある点でしょう。このアスパラギン酸は、多くの市販栄養ドリンクでも原料に見かけるほど効能が高いと言えます。アスパラギン酸には、うま味成分としても有名なグルタミン酸とよく似た性質を持っている為に、美味しく感じる要素だけではなく、体内の糖質の代謝を促すので疲労回復のサポート役としての務めを果たしているので、疲労感をいやす効果があるわけです。カリウムや葉酸が多いのもその特徴で、葉酸はビタミンB群でもあり、細胞分裂や発育を促す効果があり、赤血球を作る役割を担っています。その為貧血防止効果もあるので、特に女性には大変重要な役割を果たす野菜とも言えるでしょう。抗酸化作用のあるルチンもあり、毛細血管を丈夫にしたり、血圧を下げる効果はまさに天然の薬といったところでしょう。
アスパラガスを美味しく食べるコツ
アスパラには、青果としてのホワイトアスパラガスや、グリーンアスパラがありますが、アントシアンの豊富な、紫アスパラという品種もありますが、幻のアスパラと呼ばれる位の希少なもので、あまりお目にかかれるものではありません。アスパラには、特筆するほどの栄養効果が知られるアスパラギンもあり、これを効果的に摂る工夫が必要になります。またグリーンとホワイトでは下処理が違うという事も、知っておかなければなりません。まずアスパラは根元が硬いので、ピーラーや包丁で薄くむいておきますが、ホワイトアスパラはアクが強く、むいたらレモン汁を入れた水でアク抜きします。また、むいた残りの皮はゆでるお湯に入れる事で、うま味や香りを逃がさないようにする事ができます。ゆで汁には塩を少量入れ、ホワイトアスパラならここに、レモンの輪切りを入れて茹でます。ゆで時間も細いものなら1,2分ていどで水に落とし、太ければ3分程度で、カリッとした食感を残しておくのがコツと言えるでしょう。火が入り過ぎると柔らかくなりすぎて、食味が極端に落ちます。
アスパラガスを育ててみよう
日本にアスパラの西洋種が入って来たのは、江戸時代にオランダから観賞用に入って来たとされています。実は日本にも自生のアスパラの固有種があり、キジカクシやクサスギカズラという品種があります。キジカクシは鳥のキジが隠れるほど生い茂る事からその名が付けられ、茎は同じ様に食用になります。また、クサスギカズラの根茎は漢方では、「天門冬」の名前で知られ薬用にもなっています。アスパラにはミニアスパラもありますが、本来アスパラは茎を食べるので、3年ほど経たないと収穫できません。観賞用のアスパラもありますが、食用のアスパラでも十分鑑賞用にする事ができます。時期を見計らい種をまくと、小さな芽が出て来て伸びていきます。そのまま枯れても年を越しますので、次の春先には小さなアスパラが生えて来て、これがぐんぐん伸びて生い茂るようになります。葉が多ければそれだけ栄養を貯め込む事ができますので、次の年に収穫も期待できますが、垂れ下がらないように工夫を凝らしておきます。なお、アスパラは連作を嫌いますので、土の入れ替えや葉が枯れた後の植え替えも視野においてください。
「育てても食べても美味しいアスパラガスの効能」のまとめ
アスパラは生食でも食用可能な野菜なので、調理の下ごしらえで茹でる時には、茹で過ぎないことが肝心です。揚げ物などでは下ゆでは必要ありませんので、皮をむくだけにとどめておくと良いでしょう。