ヌクレオチド

[監修済] 生物には欠かせない部品、ヌクレオチドのスゴい働きとは

「ヌクレオチド」、あまり聞いたことのない名前かもしれませんが、私たちの存在とは切っても切り離せない関係にあります。ヌクレオチドがあることで私たちの体や脳は正常に動くことができています。今回はヌクレオチドが私たちの体でどんな働きをしているかを紹介します。

人体の基本ヌクレオチド

私たちの体は約60兆個もの細胞から成っています。その細胞の中には核と呼ばれる部分があり、細胞の遺伝子情報を伝えたり、たんぱく質の合成などをコントロールしています。その核の中にデオキシリボ核酸(通称DNA)とリボ核酸(通称RNA)が存在しています。いわばこれらのパーツとなっているのがヌクレオチドです。ヌクレオチド自体は塩基と糖とリン酸がくっついてできています。種類もいろいろあり、アデニル酸(AMP)、グアニル酸(GMP)、シチジル酸(CMP)、ウリジル酸(UMP)、チミジル酸(TMP)、イノシン酸(IMP)などがあります。それぞれに働きがあり、例えばシチジル酸などは母乳の中にもふくまれています。赤ちゃんの免疫力を上げたり、成長を助けることからこれらの成分が含まれた粉ミルクも多く出ています。また今注目されている成分、核酸もヌクレオチドから成っています。核酸には貧血を予防したり、肥満を予防したりする効果や、疲労を和らげる効果などが期待されています。

DNAを作るヌクレオチド

DNAはヌクレオチドによって出来上がっています。DNAを作るヌクレオチドは、それぞれ4種類の塩基(アデニン、チミン、グアニン、シトシン)から一つと、デオキシリボースという糖一つと、リン酸一つをつなぎ合わせたもので出来ています。DNAはそのヌクレオチドたちが組み合わさってらせん状になっています。それが連なり折りたたまれたものが染色体と呼ばれています。DNAは生命の設計図と呼ばれていて、本にすると約三万冊以上の遺伝子情報を持っている場所です。細かく言うと、アミノ酸をどう並べると作りたいたんぱく質作れるのかという情報を持っているのです。たんぱく質は私たちの皮膚や髪、内臓や血液を作るのにも使われていて、欠かせないものです。それゆえDNAに書き込まれている情報は、私たちの体が正常に作られ働くための大切なものです。

脳と肌に良いヌクレオチド

ヌクレオチドがかかわっているのはDNAだけではありません。RNAもヌクレオチドによって形成されています。RNAはDNAの設計図を写し取り、それをたんぱく質を合成するリボソームに伝えるという情報屋の働きをします。さらにその設計図に書かれた通りのアミノ酸を、合成場所までせっせと運んでいく仕事もしています。このRNAの働きで実際にたんぱく質を作り出すことができるのです。現在RNAには私たちの脳を活発にする作用があるのではないかと期待されています。ある実験では、高齢者にRNAの入ったビール酵母を摂取してもらった結果、物忘れなどの症状が緩和され、記憶力が良くなったとの報告もあります。DNAとRNAを構成しているヌクレオチドは、細胞分裂をするうえでも欠かせないものです。特に私たちの皮膚の表皮という部分では、新しい細胞がどんどん生まれていっています。健康できれいな肌を作るためには、細胞分裂がしっかり行われる必要があります。ですからヌクレオチドはきれいな肌を作るためにも必要なのです。

うま味成分ヌクレオチド

料理はダシが決め手とよく言われています。ダシのきいたスープやお吸い物を飲むと美味しい、と感じるものですがそれは私たちの舌の味蕾というところにうま味成分を感じる場所があるからです。そしてこのうま味成分にはヌクレオチドが含まれています。ヌクレオチドの一種であるイノシン酸はかつお節のうま味成分です。イノシン酸は美味しいだけではなく、細胞を活性化したり、新陳代謝がアップすると言われています。新陳代謝がアップすることで肌に潤いが生まれ、肌トラブルを抑える効果を期待できます。またヌクレオチドの一種、グアニル酸はシイタケなどのキノコ類に含まれているうま味成分です。グアニル酸には血小板が集まって固まるのを抑えたり、血液の中にあるコレステロールを減らす働きがあると言われています。血小板が固まりやすくなるとそれだけ血管内が詰まりやすくなるということです。そうなると高血圧になったり様々な疾患の原因にもなります。ヌクレオチドの一種グアニル酸にはそういった症状を防ぐ作用を期待できます。ヌクレオチドが含まれている食品はたくさんあります。またヌクレオチドの種類によっても変わってきます。DNAやRNAを構成するヌクレオチドは核酸を含んだ食品に多く含まれていて、最も多いのは鮭の白子だと言われています。お寿司屋さんなどでしかあまり食べる機会はないかもしれませんが、そういった場合はサプリメントからも補うことができます。

「生物には欠かせない部品、ヌクレオチドのスゴい働きとは」のまとめ

ヌクレオチドは、細胞の中で膨大な情報を保管しているDNAや、それに基づいてたんぱく質生成のために働くRNAのもととなる大切な成分です。それがあることにより私たちの体は正常に動いています。ヌクレオチドは核酸に含まれているので、核酸を含んだ食品からも摂取できますし、手軽に摂りたい場合はサプリメントを利用することもできます。

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