ヨード

[監修済] すぐれたヨードの栄養的価値とその効能の全て 

ヨードと聞くと、ヨード卵を頭に思い浮かべる方も多いと思いますが、ヨード卵はニワトリの餌にヨードを配合して、ヨードの栄養を持った卵を産み出したものです。さて、どんな効果があるのか見てみましょう。

ヨードとはいったい何?

ヨードとはヨウ素の事で、ヨウ素は元々海藻に多く含まれる栄養素のひとつです。ヨウ素の名前はよく知る名称とは思いますが、小学校で理科の化学実験でも良く使われる物質で、ヨウ素とでんぷんの化学変化実験を行った経験があるでしょう。また、日本の歴史的大惨事でも記憶に新しい、福島原子力発電所の事故の際には、これまで世界最大の事故と言われた原発事故だった、チェルノブイリの数倍にも及ぶ放射線が放出され、福島原発では2016年現在も、いまだ放射能汚染を鎮火する手立てが見つかっていない状態です。この福島原発の被災者に配られたのがこのヨードであり、ヨウ素は種類により安定していない元素であり放射能を出すヨウ素と、食品に含まれ元素として安定したヨウ素があるのです。ヨウ素と人間の関係は甲状腺にあります。人体はヨウ素を必要な栄養素にしていますが、特殊な性質があり人体の甲状腺にため込みます。ヨウ素は一定量甲状腺にため込むと、それ以上吸収しないという特性を持っており、無害なヨードを吸収する事によって、放射能を出す有害なヨウ素をそれ以上人体に、取り込めなくするという手段でヨウ素剤が配られた訳です。

ヨードの栄養素とその効能

ヨウ素は身近なものにも良く使われているもので、病院や学校などの保健室では、この「ヨードチンキ」が使われています。家庭でも常備するヨードチンキですが、殺菌作用があり外傷の治療に使われているものです。またうがい薬にもヨウ素が使われており、同じく赤い液体で薬局でも市販されています。ヨウ素は甲状腺にたまる事で甲状腺ホルモンの分泌を促しています。甲状腺ホルモンは、生物の根源に関わる需要なホルモンで、全身の各細胞に関係する整体ホルモンなのです。このホルモンの活動によって呼吸量やエネルギー産生量が増大するほか、体内細胞では基礎代謝量の維持や促進が活発に行われます。甲状腺ホルモンの異常分泌は、バセドウ氏病と呼ばれるもので、様々な障害を引き起こしますが、逆に摂取量が足りない場合には、甲状腺機能低下症となる事があり、橋本病と呼ばれる慢性甲状腺炎が起こる可能性があります。症状は全身に倦怠感がおき、発汗減少や体重増加がみられ、便秘などを起こしますが、小さなお子さんでは身長の伸びの低下などが起きやすくなります。

ヨード食品の数々

ヨウ素は海中に多く含まれている物質で、海藻の多くはこのヨウ素を蓄える性質を持っています。その中でも昆布には多く含まれており、同じ海藻であるヒジキのおよそ5倍、ワカメの25倍も含まれています。ヨウ素の日本人の1日の摂取量は、2010年度の時点で成人で約130 µg/日とされており、耐容上限量は約2.2 mg/日とされていますが、日常的に昆布出しを取る日本人家庭では、摂取量が足りなくなる事はほぼないと言えるでしょう。逆に摂り過ぎによる、昆布の摂取量を控えた方が良い場合もあります。日本以外の地域では、昆布を摂る習慣がありませんので、ヨウ素不足になる事も多く、長い間甲状腺系の病気に悩まされていたモンゴルは、日本からのヨウ素援助で、甲状腺異常の患者を激減させた実績を持っています。またアメリカではアメリカ食品医薬品局の規定があり、食塩にヨウ素である「ヨウ化ナトリウム」を混入していますので、扱いには注意しなくてはなりません。昆布にはヨウ素が特別多く含まれていますが、昆布本体に大量に含まれていますので可食には気を付けましょう。

ヨードをうまく取り入れよう

ヨウ素を多く含む食品にヨード卵がありますが、危険な程ヨウ素を多く含んでいるわけでもありません。ただし、1日半個程度でも十分なヨウ素が摂れる事を念頭に置いておきます。ヨード卵は健康面に優れている有用性が見られ、学会でも糖尿病や脂質異常症および、肝障害への有効性が示されたという発表が行われています。日本人は、昆布を使った料理を口にしない事が無いほど昆布好き民族ですので、摂取に関しては目くじらを立てることはないようです。ただし、最近は食文化の変化も多く、若者の和食離れが加速していますので、こういった若者はヨウ素不足が懸念されると言っても良いでしょう。上手く摂りいれるのは1日1杯のお吸い物かみそ汁を飲む事が有効で、日本料理のかつお出汁には必ず昆布が使われていますので、外食ではかつお出汁を使った料理を食べると良いでしょう。家庭でも冬場は鍋やおでんなど汁物も多く、煮物にもかつお出汁を使いますので、特に問題なく摂取できるでしょう。西洋人と日本人では体質が違う事もあり、唯一海藻を消化する事のできる民族でもあり、摂取のし過ぎで問題は起きていません。

「すぐれたヨードの栄養的価値とその効能の全て」のまとめ

ヨウ素は、体の内部の甲状腺に溜まる物質で、日本の食生活を行っている大人の場合は、特に不足する事はありません。ただし、幼児の頃は不足する場合もありますので、これを補う必要もあります。ただし、過剰摂取は禁物です。

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