ヒキオコシエキス(エンメイソウエキス)は、園芸でも扱われている延命草と呼ばれる植物のエキスの事で、弘法大師が腹痛の旅人にこの草を与え、引き起こしたという逸話から、ヒキオコシと名付けられました。
ヒキオコシとは
ヒキオコシはシソ科の植物で、延命草とも呼ばれている山野草です。園芸でも人気のある植物で、秋に可憐な花を咲かせますが、園芸種は数が多く桃色の花を咲かせるものや赤色、濃い紫色など花色も様々な色彩に満ちているのも、その人気の証と言えるのでしょう。北海道から九州まで、どこの山野でも見かける植物ですが、ヒキオコシや延命草の名前に見られるように、薬草としての価値が古くから知られていた薬草でもあります。草丈は1mほどになり、漢方など生薬で用いられているものは薄紫色の個体種で、これを漢方で延命草と呼んでいるのです。
また似たものには、近畿以北で見られる濃い紫色のヒキオコシがありますが、同じように利用できるようです。延命草と呼ばれるヒキオコシの特徴は、茎が四角く繊毛が下に向かって、びっしりと生えているのがその特徴です。漢方で使う場合には、成長しきった秋に地上部を刈り取り、乾燥して利用されています。全体に苦味が強い植物で、粉末で服用するか煎じて飲む事で、腹痛や胃痛に食あたりなどの症状に、大昔から活用されており、寺院などでも栽培が行われていました。
ヒキオコシエキス(エンメイソウエキス)の効能
弘法大師の逸話から名付けられたヒキオコシですが、生薬としての効能は現代医学でも認知されているほど、確かな作用があります。健胃に良いほか消化不良や食欲不振の場合にも用いられており、腹痛の特効薬とされていました。最近の研究では、このヒキオコシに「ジテルペン」という化合物が見つかっており、抗細菌性や抗炎症性の作用がある事がわかっており、この中に抗がん作用もある事がわかり注目を浴びています。ジテルペンはヒキオコシの苦み成分の主成分で、ヒキオコシエキス(エンメイソウエキス)の元になっている成分です。
ジテルペノイドに属しており、その成分にはジテルペンやイソドカルピン、プレクトランチンにエンメイン、イソドトルシンやポニシジン、ノドシンにエンメイン-トリアセテート、トリコドニンという成分がある事がわかっています。粘膜保護や抗腫瘍に効果があり、胃酸過多にも効果があるとされていますが、濃すぎると成分が強くなりすぎる事もあり、胃腸が弱い方は使用には注意が必要で、妊娠中の方も控えるようにされています。
ヒキオコシエキス(エンメイソウエキス)の利用法
ヒキオコシは数百年もの歴史があり、古くから民間療法として用いられてきた生薬でもあります。現在も延命草の名称で胃薬に用いられており、大量に用いなければ副作用の心配はほとんどないと言われています。最近の研究では、ヒキオコシエキス(エンメイソウエキス)の成分に含まれているエンメインが、頭皮の血行に役立つ事もわかっているのです。また、保湿作用や収れん作用がある事から、発毛促進効果に期待が上がっており、皮膚の再生を高めると共に、抗菌性もある事から育毛剤としての有用性も期待されています。
実際にシャンプーやリンスなどに、このヒキオコシエキス(エンメイソウエキス)が配合されたものが販売されており、一部化粧品などにも使用され、アンチエイジングに期待が寄せられています。ただし、育毛作用のほどは不確かなもので、医学的に立証されているものではありません。しかし、ふけやかゆみなどには、一定の効果があり、こうした作用が育毛に関して良い作用である事は間違いないでしょう。いずれにせよ不健康な生活は戒めなければなりません。
ヒキオコシを育ててみよう
延命草とも呼ばれるヒキオコシは、北は北海道から南は九州までどこにでも生えている山野草でした。その種類も近畿から北に見られる濃い紫色の品種から、漢方で延命草と呼ばれる薄桃色のヒキオコシの2種類が主な品種でしたが、現在は園芸種としてアキチョウジとの交雑種が人気になっています。花色も様々な色があり、うす桃やうす桃紫色に紫花や赤花、そして赤紫に桃色や口紅咲と品種も様々楽しめるようになっています。山野草の魅力は、可憐な花を愛でるところにあります。
シソ科の植物であるヒキオコシは、穂紫蘇のような花を付けますが、穂紫蘇の花より大きく見ごたえはあります。シソ科の植物は丈夫な品種が多く、延命草もあまり手のかからない植物です。山野草は基本的にあまり肥料も必要としませんので、腐葉土を多く土に混ぜておきましょう。園芸種はガーデニング店などで、山野草コーナーなどで見かけます。実生からも育てる事ができますので、ポットで育てるもの良いでしょう。ほっておくと草丈も100㎝程になりますので、摘心する事で背丈の調節を行います。
「ヒキオコシエキス(エンメイソウエキス)の効能
」のまとめ
ヒキオコシエキス(エンメイソウエキス)は、良薬は口に苦しを地で行くような苦さで、昔は選ぶりの代用品として扱われた時代もありました。現在では効能も知られるようになり、漢方の他に育毛用品でも売られています。