メグスリノキは日本にのみ自生する固有種であり、室町時代から洗眼や点眼に用いられていました。またメグスリノキエキスは抽出する部位によって様々な働きが期待されているためその効能について考えます。
メグスリノキエキスの歴史
メグスリノキというユニークでインパクトのある樹木は宮城や山形を北限として四国や九州の標高700mほどの山地に自生する日本固有種の植物です。カエデ科カエデ属の広葉樹で5月頃から雌雄ともに淡黄色の花を咲かせることでも知られています。メグスリノキエキスは、このメグスリノキの樹皮や葉から抽出されたエキスで古くから民間薬として利用されており、葉や樹皮を煎じた汁が眼病予防に効果があることからその名が付けられたものです。メグスリノキは自生する地域でチョウジャノキやセンリガンノキなどとも呼ばれています。
メグスリノキの歴史はとても古く、戦国時代の名将、黒田氏の祖父が室町時代にメグスリノキから抽出したエキスで目薬をつくり家を支えるほどの財をなしたことが書物にも記されています。江戸時代に入るとメグスリノキエキスを濃縮した物に水を加えて使用する膏薬が広く普及し洗眼薬として人気を博しましたが、その後西洋医学の浸透とともに忘れ去られるようになってしまいました。西洋医学の影響を受けて点眼式の眼薬が主流となり、再びメグスリノキにスポットが当たるようになるのは1970年代のことです。
メグスリノキエキスの成分や働き
大学で本格的にメグウリノキエキスの成分についての研究が行われるようになってから次々と有効成分が明らかになってきました。メグスリノキは葉や幹、樹皮など部位によって含まれる成分に違いがありますが、主な成分としては炎症抑制作用のあるエピ・ロードデンドリン、血圧や血糖値を下げ、利尿作用もあるα-アミリン、目の粘膜の保護や修復の役目を担うカテキン、アレルギーを抑制するケルセチンなどが知られています。
メグスリノキエキスの本体成分としてはロドデンドリンが有名でこのロドデンドリンに他の様々な有効成分が働いて様々な相乗効果が得られているものと考えられています。ロドデンドリンは加水分解されることでロドデンドロールに変化しますが、これはお茶などにも含まれるタンニンの一種であり、肝機能を高める作用や目の周りの利水作用、血行や気の流れを改善する作用などがあるといわれています。また、タンニンの成分のひとつであるゲラニインは抗菌作用があるためアレルギー性結膜炎などの眼病の症状の緩和に有効であることがわかっています。
メグスリノキエキスが肝機能を高める
メグスリノキエキスが昔から眼病予防や治療に使用されてきたことから目に効果があることは容易に想像がつきますが、なぜ肝機能を高める効果があるといわれるのでしょうか。それは葉や樹皮に含まれるロドデンドリンを加水分解したロドデンドロールの働きによるもので、肝臓の重要な機能である解毒作用を活性化するからです。中国では昔から肝の働きが衰えると目が疲れやすくなり、逆に目を酷使すると肝の機能が衰えるといって経験から肝臓と目には密接な関係があるといわれていました。
実際に漢方による目の治療では、目ではなく肝臓の機能を強化する処方が用いられます。肝臓の機能を高めることで解毒作用が活性化され目の機能にも栄養を及ぼすと考えられているのです。西洋医学の臨床試験においてもメグスリノキエキスが実際に肝臓障害の予防に効果があるという結果が得られています。また、B型肝炎の症状の緩和にも効果が期待されており、皮膚や粘膜が黄色くなる黄疸症状がなくなり肝機能が回復するといわれています。
メグスリノキエキスの摂取
メグスリノキは日本固有種の樹木であるため、メグスリノキを使用した様々な商品も全て国産で安全性が高いものといえます。その種類には、液状タイプのものや乾燥したもの、お茶やサプリなどがあり、メグスリノキの葉や小枝を乾燥させた漢方処方のものは薬局でも手に入れることができます。部位によって効能が異なるため、目の機能には乾燥させた小枝や葉を煎じたものを、肝臓をはじめとする内臓機能には樹皮を煎じ、血管機能には葉を煮出して飲用するとよいといわれています。
目的に合ったメグスリノキの部位を水とともに沸騰させその後弱火で5分ほど煎じ、茶こしでこせば飲用できます。有効成分の働きを高めるためには飲む度に温め直すといいといわれています。また、ルテインやブルーベリーなどの他の栄養成分を配合したサプリも商品化されており、自分の体にあったものを選択できるのも魅力となっています。メグスリノキエキスは洗眼薬や飲む目薬として、また肝機能を高める健康補助食品としてなど幅広い用途があるため、決められた用法や用量を正しく守って使用するようにしましょう。
「日本固有種のメグスリノキから抽出されるメグスリノキエキスの効能について」のまとめ
メグスリノキエキスは、メグスリノキの葉や樹皮、小枝などから抽出されたエキスで、古くから目の病気の予防や治療に用いられてきました。また、肝機能を高める効果も認められており、お茶やサプリで摂取できます。