日本では西洋菩提樹の名前でしられているリンデンにはその部位によってリンデンフラワーとリンデンウッドに分かれそれぞれに異なる効能があるといわれています。それぞれの特徴や効能について考えます。
リンデンの特徴
リンデンはヨーロッパを原産とするシナノキ科シナノキ属の植物でヨーロッパ東南部に生育する落葉高木です。日本では、西洋科の木や西洋菩提樹とも呼ばれ、釈迦がこの木の下で悟りを開いたことでも有名です、西洋では、リンデンバウムやライムフラワー、ライムブロックなどとも呼ばれており、花や葉の部分を指すリンデンフラワーと木の部分を指すリンデンウッドでは効能や働きが異なります。リンデンは聖なる木として古くから親しまれている樹木で、ヨーロッパでは初夏に黄緑色のかれんな花を咲かせる街路樹として様々な場所に植樹されています。
歌曲王として有名なシューベルトの歌曲「菩提樹」にも登場する有名な木は、抽出された成分に鎮静作用があることが古くから知られており、フランスでは落ち着きがない子どもにお茶として飲ませる習慣もあったといいます。また、リンデンの葉には利尿や鎮静、発汗の作用があると考えられていたことから、ヨーロッパでは古くからインフルエンザや風邪、高血圧や不眠症の症状の緩和に用いられてきた歴史があります。
リンデンフラワーとリンデンウッド
リンデンには、ルチンやヒペロシド、ティリロシドなどのフラボノイドやタンニンやフェノールサンやフェルネソールなどが主成分として含まれています。リンデンの花や苞の部分を乾燥させたものをリンデンフラワー、木部の白木質を乾燥させたものをリンデンウッドと呼びそれぞれに効果効能があります。リンデンフラワーにはかすかながら甘い香りがあり、高ぶった気持ちを落ち着かせて神経の緊張を鎮めストレスを解消してくれる働きがあります。ハーブティーとしてもよく親しまれており、ストレス性の頭痛や高血圧、動脈硬化の予防にも効果があるといわれています。
リンデンウッドには香りはありませんが、利尿作用や脂肪分解作用があるといわれているため老廃物や有毒物質を体外に排出する効果があるといわれています。体のなかの巡りをよくしてくれ老廃物が蓄積されるのを防いでくれるため、ダイエットにも効果的であると女性に人気です。ヨーロッパでは、バスハーブとして赤ちゃんの産湯に使われることもありますが、これはリンデンが赤ちゃんのデリケートな肌に刺激を与えることなく、肌の潤いやバリア機能を高める効果が期待されるためです。
リンデンハーブティー
リンデンは乾燥させたものを煎じて飲用するハーブティーで効果的に摂取することができます。緑茶であっても一服のお茶は気分を落ち着かせるとともにリラックスさせてくれるものです。リンデンはさらに優れた鎮静効果があるためイライラした時や強い不安や緊張を感じている時に服用するのにはピッタリといえます。香りとともに花に含まれるビオフラボノイドの働きにより血圧を下げる働きもあるリンデンフラワーティーは香りを嗅ぐだけでも気分をリフレッシュすることができるでしょう。
メンタル面だけでなく体への効果をより実感できるのはほとんど香りがないリンデンウッドティーで利尿作用だけでなく、老廃物の排出を促進することから体のむくみを改善することもでき長時間の立ち仕事などの後に飲むにもピッタリです。フラワー、ウッドともにクセがなくほとんど味もしないので、ラベンダーやレモンバームなど風味や効能をプラスしたブレンドハーブティーとして飲用するのもおすすめです。また、市販の紅茶にリンデンをプラスするだけでも効果を実感することができるでしょう。
リンデンの摂取
リンデンはハーブティーで楽しめるほか、花からはハチミツが採取されるためリキュール類に使用されることもあります。またスキンケアとして、リンデンにオレンジフラワーやローズをブレンドした植物由来の化粧水やクリームは肌のハリや弾力を維持するのにも効果があるといわれています。また、発汗や血液の流れを促進する働きがあることから入浴剤として使用することもでき、特に風邪の引き始めの症状を緩和してくれるといいます。
リンデンは天然植物由来の成分となるため安全性や副作用について大きく心配になるようなことはありません。リンデンはすりこぎなどで粉末にして湯を加えることでジェル状になり、フェイスパックとして使用することもできます。食用として摂取する場合には、リンデンには強い鎮静作用や血圧を下げる作用などがあるため、高うつ薬や血糖降下薬などを服用している方は薬の作用が強くなってしまうこともあるため、摂取を控えた方がいいといえるでしょう。
「ヨーロッパの街路樹としてもよく見かけられるリンデンの特徴や効能について」のまとめ
葉や花の部分であるリンデンフラワーと木部のリンデンウッドにはそれぞれ、鎮静作用やリラックス効果、利尿作用や血糖降下作用などがあり、自分の体に合わせてハーブティーで摂取することができます。