ビールの苦みや香り付けに使用されることで有名なホップは食欲増進や利尿作用などの他にも様々な働きや効能があり、健康に大きく貢献してくれる成分であるといわれていますが、その具体的内容について考えます。
ホップの特徴
ホップと聞くとお酒をあまり飲まれない方でもビールを思い浮かべることでしょう。ホップはアサ科の多年草つる性植物であり生長すると8mほどまで伸びることもあります。ビールの苦みや香りづけに使用されていますが、この苦みや香りは受精して種子をつけると劣化してしまうため実受精の雌株ホップのみを栽培して使用することが多いようです。アジア西部やコーカサス地方が原産といわれており、成長するとミニサイズの松ぼっくりのような毬果を付けます。
ビールの原料として日本でも東北や北海道で広く栽培されていて和名をセイヨウカラハナソウをもいいます。ホップは、薬用ハーブとしても優れた効能があり、その場合は夏に開花した後すぐに収穫して乾燥させます。古くから世界各地で治療に用いられてきた歴史があり、中背ヨーロッパのハーブ辞典やインドのアーユルヴェーダや中国医学でも活用されています。ホップの苦み成分は食欲を増進させるとともに消化を促進させる働きがあり、鎮静作用や利尿作用など健康に大きく寄与することがわかっています。生活習慣病の予防にもピッタリであるといわれるホップは女性のハーブとしても人気です。
女性の悩みを改善してくれるハーブ
ホップには女性ホルモンと同じような働きをする物質、フィストロゲンが含まれているため、加齢とともに減少していく女性ホルモンを補うことが可能です。ホルモンバランスの乱れから生じる月経前症候群による緊張や生理痛、更年期に生じる不眠や肌の老化の諸症状を緩和することができます。ビールに利尿作用があるといわれるのはホップの成分によるものであり、体液の鬱渋を取り除いてくれるとともに毒素の排出を促してくれる作用があります。また、有害物質や老廃物の排出が促されることにより肝機能の向上が図られ浄血作用にも期待がもてます。
毒素や老廃物を排出しながら体全体の血流を改善する効果が望めるため皮膚トラブルの解消を図ることもできます。外用としても実際にホップ由来の化粧品が存在しており、殺菌作用や収斂作用などにより、肌を引き締めしなやかに保ちながらしわを防いでくれると話題になっています。減少する女性ホルモンをサポートするとともに体内の毒素や老廃物の排出を促進し美肌効果も期待できるとあって年齢を重ねた女性にはメリットの多い栄養成分といえるでしょう。
ホップのリラックス効果
古くから世界各地で鎮静作用のあるホップが不眠症の症状を緩和させる不眠の薬としても親しまれていました。鎮静、リラックス効果のあるハーブは他にも種類がありますが、ほとんどのハーブが筋肉を弛緩させることを目的として使用されるのと違い、ホップは穏やかに神経へと働きかける性質を持つため、過度の緊張や不安感を和らげることができるといわれています。乾燥したホップの花を枕に詰めたハーブピローは穏やかに眠気を誘うとして不眠に悩む方にも愛用者がいます。
ホップは成長すると小さな毬果をつけますが、そのなかにはホップ腺という黄色い粒状のものが含まれています。このホップ腺は苦味や香りを付けるだけでなくビールの泡持ちを良くしたり濁りを取り除いたりする働きがあるとともに芳香成分であるフムロンがイライラや不安、不眠などを解消してくれることからホップの鎮静作用を活用して気分を落ち着かせることもできます。比較的強い鎮静効果があるため、鬱状態などにある方は摂取し過ぎないようにすることが大切です。
ホップの様々な効果
ホップ抽出物の主成分、イソフムロンには血管を弛緩させたり血糖値の上昇を抑制したりする作用が認められており、高血圧や糖尿病の予防や症状の緩和に効果が期待されています。また、コレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制するとともに善玉コレステロールを増加させる働きもあることから動脈硬化の初期症状を予防する効果があるものと考えられています。さらにホップの鎮静作用により神経性の消化不良やストレス性の消化器疾患などの予防や改善にも効果があるといわれています。
ホップはコレステロールや中性脂肪の蓄積を抑制することから代謝を促し肥満にも効果があるといわれています。肥満は、インスリン抵抗性を誘導して生活習慣病の原因にもなると考えられており、心疾患や脳血管障害などのリスクを低減するためには肥満状態の改善が最も重要であるといわれています。就寝前にハーブティーで飲んだりサプリで手軽に摂取したりすることにより肥満抑制効果を期待することもできるでしょう。
「ビールの苦み成分で馴染みのあるホップが健康に与えるメリットについて」のまとめ
ホップにはビールでお馴染みの利尿作用だけでなく女性特有の様々な症状を緩和する働きのほか、血糖値やコレステロール値を下げて動脈硬化を防いでくれたり、リラックスさせてくれたりする効果があります。