ホスファチジルセリン

[監修済] 脳機能の改善が期待できるといわれるホスファチジルセリンについて

ホスファチジルセリンは脳内神経細胞に働きかけて記憶力の向上や集中力、学習力などに大きく寄与する成分であるといわれています。そんなホスファチジルセリンの具体的な特徴や効能などについて考えます。

ホスファチジルセリンの特徴

人間の体が60兆個もの細胞から作られていることは有名な話ですが、その全ての細胞膜に存在しながらその柔軟性を保つ役割を担っているのがホスファチジルセリンです。細胞内へ栄養素を取り込むとともに老廃物を排出する重要な働きもあります。また、ホスファチジルセリンはリン脂質の一種で脳に多く存在するために脳の栄養素ともいわれています。脂肪を運搬・貯蔵する時にタンパク質と結合させる働きがあるとともに脳や神経組織の情報伝達にも大きく関わっています。

体内で合成されるホスファチジルセリンですが、肉や大豆といった食品からも摂取することができる成分です。ただし、食品から摂取したホスファチジルセリンはそのままの形では脳内に到達することができないため一度分解された後に脳内で再合成されます。神経伝達物質としてよく知られているドーパミンやセロトニンなどを生産して分泌を促します。その結果、神経における情報伝達システムの機能が高まり、記憶力の向上や維持が図られるといわれています。

脳機能の改善

昔から体の臓器が弱い時には健康な動物の同じ臓器を摂取すれば改善が図られると信じられてきました。狩猟生活をしていた人が肝臓の機能低下を感じたら鹿などの肝臓を食べるという流れです。ホスファチジルセリンも脳の機能が衰えたら動物の脳をという考えを発端として牛の脳から分離することによって発見されたものです。20世紀後半に欧米を中心に研究が進み数々の信頼性のある臨床実験から脳の機能を改善する働きがあることが多く発表されました。

牛の脳1個から摂取できるホスファチジルセリンはわずか1g程度で効率的ではないことと、狂牛病などのおそれもあったことから、現在では大豆から抽出したサプリが一般的なものとなっています。体内に摂取されたホスファチジルセリンは30分程度で血中に現れその数分後には肝臓への取り込みが開始されやがて血液脳関門を経て脳内へと到達します。この流れから見る限りでは効果を実感するまでに時間がかからないように考えられますが、実は1ヶ月から2ヵ月は継続的に摂取しなければ期待するような効果が得られないといわれています。

アルツハイマー病の予防

現在、急激な高齢化社会への移行から認知症やアルツハイマー病の患者が増加しているといわれています。アルツハイマー病の詳しい原因はまだ明らかにされていませんが、脳のタンパク質が変性、委縮したり、脳内の血流が悪くなったりすることが一因ではないかといわれています。これまでに海外で実施された臨床試験では、アルツハイマー病の患者に1ヶ月から6ヵ月の間継続的にホスファチジルセリンを摂取させたところ、認識力や記憶力、集中力や学習力に改善がみられたり、加齢性記憶障害の患者に12週間摂取させたところ、神経学的指標による改善が認められたりしたという結果が得られています。

また、ラットを使った実験では海馬の細胞密度が若返ったという結果も得られており、ホスファチジルセリンには細胞膜に柔軟性をもたせ血流改善を図る働きだけでなくシナプスの働きをサポートして神経細胞の若返りや維持ができると期待されています。詳しい研究は今後も継続されるでしょうが、ホスファチジルセリンが血管壁や赤血球の細胞膜を柔らかくし血流を改善する働きによって脳細胞の新陳代謝が活発になることや脳細胞の働きを強化することの有効性が示唆されているのは事実といえるでしょう。

サプリで補うホスファチジルセリン

ホスファチジルセリンが脳内に有効に作用する理由にはその働きに脂質の酸化抑制があるからだともいわれています。老化を早めてしまう大きな理由に活性酸素がよくとりあげられますが、そもそも酸化とは、いくつかの要因によって、体内の酸素が毒性のある活性酸素に変化してしまい、その量が増え過ぎることによって細胞の酸化、いわゆる錆つきを起こしてしまうことをいいます。ホスファチジルセリンを摂取することによって脳内でも神経細胞が壊死してしまうのを防ぐ働きがあるために脳機能の向上に寄与するといわれているのです。

ホスファチジルセリンには脳内の神経伝達物質であるセロトニンの分泌を促す働きもあり、ストレスを和らげ気持ちを落ち着かせてくれる効果もあるといわれています。ただ、脳機能の改善などのような効果を得るためには比較的多めの量を継続摂取する必要があり、ホスファチジルセリンを多く含むという大豆でも1,000粒以上も食べなければならない計算になってしまい食事から必要な量を摂取するのは難しいでしょう。脳細胞を活性化するといわれているDHAやギャバなどの有効成分を一緒に摂取できるサプリで補給するのがおすすめの方法といえるでしょう。

「脳機能の改善が期待できるといわれるホスファチジルセリンについて」のまとめ

体内の細胞膜や脳に多く存在するホスファチジルセリンは細胞膜を柔らかくして血流の改善を図るとともに神経細胞を活性化して代謝の衰えや脳内神経接合の不具合を改善してくれるため、サプリでの摂取が効果的です。

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