コラム

【第1回コラム:睡眠その2】「サーカディアンリズム」と「ホメオスタシス」について

前回に引き続き今回も「睡眠」についてのコラムです。前回の纏めを簡単にしておきましょう。

 

睡眠は人生にとって最重要な活動の1つでありなくすことは出来ません。睡眠自体の研究が進み、睡眠のメカニズムや睡眠時に人間の体内でどのようなことが起こっているかが分かってきています。これらを知ることで、効率的な睡眠をとることが可能になります。睡眠をより理解し、コントロールする為のキーワードが「サーカディアンリズム」と「ホメオスタシス」、「メラトニン」と「コルチゾール」です。

体内時計(サーカディアンリズム)とは何か?
サーカディアンリズムとは体内時計とも言います。体内時計と言う言葉ならば聞いたことがある人が多いのではないでしょうか?体内時計は、人間が地球の自転の経過(昼と夜)に合わせて活動(覚醒)と休息(睡眠)を行うために備わっている機能です。地球の自転に合わせ、ほぼ一日の周期で一定のリズムを刻み、朝起きて、昼間に活動し、夜間眠るという生活リズムを作り出しています。
人の体内時計には、太陽光やセロトニンという脳内の神経伝達物質と睡眠ホルモンであるメラトニンなどが深い関係にあります。

睡眠の恒常性維持機構(ホメオスタシス)とは何か?
恒常性維持機構(ホメオスタシス)とは、体温を一定に保つこと、傷を治すこと、体内のウィルスを排除すること等、体の状態や性質が一定に保たれる事を指します。これが睡眠にどう関係するかと言うと、「人の生体を維持するために、眠りの質を自動的にコントロールする機能」に関係します。もっと具体的に言えば、ホメオスタシスによって、肉体や脳の疲労度に応じて眠りの質をコントロールし、短い睡眠時間でも効率的に体と脳が休むことが出来ます。人の持つホメオスタシスが睡眠の質を自動的にコントロールしてくれるので、睡眠不足の場合にはそれに見合った睡眠の質を確保でき、意識的に長く寝ようとしなくても良くなるのです。

週末の寝貯めには意味はない?
ホメオスタシスの働きを理解すると、「寝貯めは出来ない」という事になります。何故ならば、睡眠のホメオスタシスは、「睡眠前」の身体の状態(寝不足、強い疲労、生命の危機など)に基づき発揮され、自動的に睡眠の質がコントロールされるからです。寝不足の時や身体が疲れているときは、睡眠時間がたとえ短くても、質の良い睡眠が取れる様に体が調節し、短時間でも疲労回復できます。しかし、ホメオスタシスはあくまでも「睡眠前」の身体の状態に応じて働くため、先のことは考慮されません。例えば「来週は忙しいから今週末は一杯寝ておこう」という状態に対応できません。未来でなく、今の状態で睡眠の質がコントロールされてしまうと言っても良いかもしれません。たとえ寝貯めしたとしても、その夜の睡眠の質が落ちるだけで、翌日にはかえって疲れてしまうという困った状態になります。

体内時計が乱れてしまったら自然光を浴びることが効果的
人の睡眠に深く関連する『サーカディアンリズム』と『ホメオスタシス』については理解頂けたと思います。しかし、この二つの人体メカニズムも、時にはそれが乱れてしまうことがあります。特に、不規則な生活を送っている人、夜勤が多い人は、『サーカディアンリズム=体内時計』は特に乱れやすい傾向があります。一度乱れた体内時計を元に戻すには、規則正しい生活習慣を送ることが一番必要です。しかし、忙しい現代社会では、規則正しい生活習慣を送ること自体が困難な場合もあります。そうなると、睡眠不足から気分の落ち込みや欝に近い症状が出てしまいます。
その場合には、朝に太陽光を浴びる習慣を作ってください。理想的なのはカーテンを閉めずに寝て、朝日によって明るさと共に目覚めるようにすることが理想です。この効果は、交感神経を刺激して体内時計を整える、時差ボケの解消、セロトニン活性化やメラトニンの分泌を活性化します。最終的には、不眠や自律神経バランスの改善にも役立ちます。

睡眠不足の悩み
『たくさん寝たのに、仕事中眠たい。』『昼過ぎになると頭が回らない。』『どれだけ寝ても満足できない。』…etc。こうした睡眠に悩みを持っている人には、『何時間眠ったら良いのか』という点に気を取られがちです。しかし重要なのは『どうしたら睡眠の質が改善するか?』を考えなくてはいけません。通常はホメオスタシスの機能によって、睡眠の質は大きく変化しません。これは前述に述べた通りです。しかし、起立性調節障害を始めとした自律神経系のバランスが崩れている場合には、睡眠の質は確保できなくなっていってしまいます。
自律神経系のバランスが崩れる⇒睡眠の質が落ちる、という関係です。そして、自律神経系のバランスが崩れる原因の一つが会社、学校、家庭の中で生じる様々なストレスです。ストレスは睡眠の質を著しく悪化させます。それ以外にも、美容やその他病気にも深くかかわってきます。その為、睡眠の質そのものを改善する手段は、睡眠の質を悪化させる原因となっているストレス消すことが重要です。しかし、ストレスの原因そのものが生活と密接に結びついている場合が多く(会社、仕事、学校、受験、家庭、上司、夫婦関係、など)、完全に消し去ることは困難な場合が多い様です。
次善策として、ストレスそのものを消し去るのではなく、ストレスへの抵抗力を向上させることが、ストレスによる睡眠の質の悪化を防ぐ近道と言えるかもしれません。ではないでしょうか。 ストレスへの抵抗力を高めるのにお勧めなのが、「ビタミンC」「パントテン酸」「テアニン」といったサプリメントです。

睡眠不足の自覚症状
睡眠時間の長短にかかわらず、以下のような症状があれば睡眠不足の可能性は高いと言えます。
症状1. ストレスが解消出来ない
「嫌なことも寝たら忘れた」ということがよくあります。実際、人は眠ることでストレスを解消していると考えられていて、睡眠それ自体が非常に効果的なストレスの解消法です。ストレスが溜まると、人体に非常に深刻な影響が生じます。睡眠不足でストレスを解消することが出来ずに溜まっていくと、下痢や便秘の症状が起こりやすくなったり、心拍数や血圧が上がって高血圧気味になったり疲れを感じやすくなったりします。また、睡眠不足が慢性化すれば、やがて不眠症やうつ病などを発症する可能性が高くなります。
症状2. 老化の進行
睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌が減り、皮膚や筋肉など体組織の修復力が衰えます。また、睡眠不足になると、ストレスが溜まりやすくなり、細胞を傷つける活性酸素が体内に発生しやすくなってしまうため、老化が進んで老けた顔になりやすくなります。具体的には、肌のシワが増えたり、目の下のクマや、表情筋が衰えて、顔がたるんで見えるなどの変化が現れやすくなります。
症状3. 太りやすくなる
睡眠が不足すると、食欲を増進させて『肥満ホルモン』として知られるグレリンという物質の分泌が増えることが分かっているため、睡眠が不足すると太りやすくなる可能性があります。
症状4. 疲れが取れない
人は、眠りの段階をコントロールさせ、疲れをとっていると言われています。睡眠不足になると、脳と身体の疲れを十分にとることが出来ず、目覚めてからも脳が疲労感や倦怠感を感じやすくなったり、筋肉の疲労が回復せず、身体に疲労物質が溜まってしまい、身体が重たく感じたりしやすくなります。
症状5. 集中力と判断力の低下
睡眠不足で、特に多くの人が実感するのが集中力の低下でしょう。睡眠不足が起こると、起床後も交感神経系が十分に活性化せず、頭がボーっとして集中力や判断力が低下してしまいます。この集中力や判断力の低下は、勉学、仕事、運動、育児、恋愛など、社会生活上のあらゆる面で、多くの悪影響を及ぼす可能性があります。
症状6. 感情のコントロールが難しくなる
睡眠不足の状態は、ストレス耐性が下がって、ストレスホルモンであるコルチゾール、ノルアドレナリン、アドレナリンなどが分泌されやすくなります。ストレスホルモンはイライラや不安な気持ちを感じやすくし、また判断力も低下するため、感情のコントロールが難しくなり、すぐにイライラしたり怒りっぽくなったり、落ち込んだりしやすくなります。
症状7. コニュニケーション能力の低下
睡眠不足の状態は、物事の観察力や洞察力、共感性などに作用するオキシトシンやフェニルエチルアミンなどのホルモンの働きを阻害します。そうすると、相手の声や口調、表情などから、相手が考えている事を読み取りにくくなるので、人とコミュニケーションを取るのが普段よりも難しいと感じることがあります。
症状8. パニックを起こしやすくなる
睡眠不足は、脳の神経が不安や恐怖といったストレスに対して過敏になりやすく、普段はなんともない、ちょっとしたストレスを感じただけでも、過度の不安や恐怖が増幅され、いわゆるパニック障害を起こしやすいとされています。
症状9. 肌のシワや怪我が治りにくい
睡眠時に分泌される成長ホルモンには、皮膚や骨、筋肉といった体組織を修復・再生する作用があり、成長ホルモンが集中的に分泌される時間帯は『睡眠のゴールデンタイム』と呼ばれ、特に重要な時間です。睡眠不足になると、成長ホルモンの分泌量も減り、古くなった肌のターンオーバーの周期が遅れて、肌トラブルが起きたり、ちょっとした怪我が治りにくくなる可能性があります。
症状10. 成績や学習能力の低下
睡眠不足では、集中力が低下してしまいます。集中力が低下すると、授業の内容は頭に入らず、学習効果が下がります。また、人の脳は睡眠中に、記憶の整理を行っていると考えられているため、学習した事を長期記憶として定着させるには、適度の睡眠が欠かせません。

「第2回コラム:睡眠②」のまとめ
睡眠は「サーカディアンリズム」と「ホメオスタシス」によってコントロールされています。通常はこれらに問題が発生することはありません。しかし、ストレスが原因で問題発生⇒睡眠の質低下という問題が起きます。ストレス自体を消し去ることが出来れば、一番いいのですが実際難しいのが現実です。その為、「ビタミンC」「パントテン酸」「テアニン」といったサプリメントで体ストレス性を上げることが次善策と言えます。自覚症状がない場合も多いため、今回の10項目で自分なりのチェックをしてみましょう。

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