[監修済] 腎不全や肝不全の治療をはじめとして医療分野で重要な役割を果たしているアミノ酸

アミノ酸

[監修済] 腎不全や肝不全の治療をはじめとして医療分野で重要な役割を果たしているアミノ酸

アミノ酸は体を作るたんぱく質の原料であることは周知の事実です。実はアミノ酸はたんぱく質の原料の働きをするだけではありません。医療現場においてもアミノ酸は重要な役割を担っています。このサイトでは医療現場でのアミノ酸の役割を紹介していきます。

医療現場で本当に大事なこと

病気になってしまったときに本当に重要な治療法は一体なんでしょうか？手術や特効薬をイメージする人も多いかもしれませんが、実はそれらは非常に重篤な症状を緩和するために多くの場合は用いられるものであるので、薬を使わなくても良い状態にしていく必要があります。特殊な化学的合成によって作られた薬もありますが、体内にあるアミノ酸を原料に作られた医療用の薬も多く存在しています。アミノ酸はもともと体内にあるものですので、体に副作用を与える心配がないというメリットがあります。例えばグルタミン酸は胃潰瘍の改善効果があることが知られています。また、アルギニンには免疫力の回復の効果もありますので、たとえば、手術後の院内感染の予防にアルギニンが用いられることもあります。またアルギニンはいろいろな種類の免疫疾患の治療に用いられることが多くなっています。患者さんの術後の栄養管理のために主として用いられてきたアミノ酸を含んだ輸液を用いると手術の成功率がアップすることも報告されるようになってきています。いまでは世界中の医療機関で用いられている、アミノ酸輸液は日本で初めて製造されたものとして知られています。

抗生物質、血圧降下剤、血圧降下剤、抗ウイルス薬などはアミノ酸を原料にして作られることが多くなっています。体を作っている物質が有効な治療薬となることは不思議な点でもありますが、もともと体を作っている物質を補給することが健康の回復に意味があると考えれば納得のいくものといえます。人工的な物質ではありませんので、アミノ酸由来の薬は安心して医療の現場で使えるというメリットがあります。

グルタミン酸を食べると頭の働きが良くなるということが言われて、グルタミン酸を含む食品は調味料が多く摂取された時代がありました。脳の中で、グルタミン酸が神経伝達物質として重要な働きをしていて、グルタミン酸の量が脳の中で増えれば、脳の機能もそれに比して良くなるという考え方です。もちろん、グルタミン酸を食品として摂取しても、脳血液関門がありますので、脳の中には入っていくことができないのですが、グルタミン酸を摂取することによって、体の調子がよくなり、結果として脳の働きが良くなったというようなことは起こってきました。

また、アミノ酸はうまみの成分でもありますので、病気によって食欲が低下しているときにご飯をおいしくいただくこともできるので、体力の回復にも大きな意味を持ってきます。GABA(ガンマアミノ酪酸)はお肌の劣化を防ぐ作用がありますので、美容整形の分野で多く使われるアミノ酸として知られています。いろいろなアミノ酸が、我々の健康の維持のために使われるようになってきています。つまり、医療現場では手術や特効薬の治療と並行してアミノ酸による栄養バランスの維持も大きな意味をもってくるのです。

肝不全

アミノ酸は肝不全の治療のために最近は用いられるようになってきています。肝不全になってしまうとBCAA（バリン、ロイシン、イソロイシン）と呼ばれるアミノ酸の血中濃度が低下してしまいます。BCAAの血中濃度の低下は肝性脳症という重篤な症状を引き起こしてしまうことがあります。肝性脳症の予防のために、BCAAを豊富に含んだ治療薬が肝不全の場合には用いられることが多くなります。アミノ酸の働きによって、肝不全によって引き起こされてしまう2次的な病気を防ぐことが可能になってきます。

腎不全

アミノ酸は腎不全に悩まされている方の薬としても重要な意味をもってきます。腎不全になってしまうと、腎臓の働きの低下によって体の中に尿素などの老廃物が蓄積されやすくなってしまいます。場合によっては老廃物を透析などによって取り除く必要が出てきてしまいます。透析を行っている場合には、腎臓に対する負担を軽減するために、食事の量を制限する必要もでてきてしまいます。しかしながら、低たんぱく質の食事が続いてしまうと、血中のアミノ酸の濃度が低下してしまい、栄養不良の状態を招いてしまいます。栄養不良の状態は体の健康バランスにとってよくありませんので、それを解消するためにアミノ酸入りの薬で栄養補給をすることが行われます。アミノ酸は腎不全の人の栄養バランスのサポートにも大きな働きをもっています。

「腎不全や肝不全の治療をはじめとして医療分野で重要な役割を果たしているアミノ酸」のまとめ

このようにアミノ酸には体の健康を維持するための作用があり、医療現場でその効果が活用されるようになってきています。アミノ酸の効果にはまだ見出されていない部分も多いので、これからも様々な疾患に対するアミノ酸由来の治療薬が開発されますます多くのシチュエーションでアミノ酸が活躍することも多いに期待できます。